St.R @461


「今日のコンサート、私は行けないから頑張んなさいよ」
 私は仕事に出掛けようとする恵に向かってそう言った。案の定恵はビックリしたように
目を見開いて着替えの手を止めてまで私の顔を食い入るように見入った。どこに行くにも
いつも一緒なだけに恵の驚きようはもっともだと思う。
「えっ!? …どうして…?」
「用事があるの」
 恵から目を逸らすように私はくるくると踊るように回ってみせた。さも楽しそうに微笑
みながら。
「私にだってプライベートがあるのよ、恵。駅までは一緒に行くから」
「う、うん……」
 まだ納得出来ないといった表情の恵だったが時間も押し迫っているので、着替えを再開
させる。普段から『味方はいない。信じられるのは恵だけ』と言っている私が恵と別行動
取るのにプライベートな用事だなんて…。どうしてもっと上手い言い訳が出来ないのかと
私は自分を疎ましく思った。恵の自転車で駅まで行くと、恵はやっぱり心配なのかニコニ
コ笑いながら手を振る私を何度も振りかえり、改札口の向こうへと消えていく。完全に恵
の姿が見えなくなってから、私は顔から笑みを消した。ほぼ刻を同じくして私に声をかけ
てきた二人組の人物をキッと見据える。
「ほぅ、本の持ち主はこれからお出かけか? よっぽどあの人間にとって今日は大切な日
なんだろうな」
 ニタニタ笑いながら、マルスが改札口の向こうを眺める。

「そんなことどうだっていいでしょ!? ちゃんと約束は守るわ!!」
 マルスの視界を遮るように、私はマルスの前に立って有らん限りの怒りを込めて睨んだ。
しかし私が凄んだところで、マルスには何の意味もなさない。
「約束? ああ、今日1日あの人間を狙ったり襲ったりしないかわりに、お前を好きにし
ていいってやつか。ちゃんと守るさ。その証拠にレンブラントもここにいるだろ?」
 マルスは自分の本の持ち主である人間を指差した。この二人がここにいる以上、恵に被
害が及ぶことはない。私はそのことだけは安心した。
「行こうか。ここに突っ立ってても仕方ないし」
「行くってどこへ……?」
「どこだっていいだろう? 君は黙って付いてくればいいんだよ」
 たしかにどこに連れていかれようと、今の私に拒否することなんて出来るはずがなかっ
た。私は黙ってマルスのあとを付いていった。レンブラントが運転する車の後部座席に座
らされると、その隣にマルスが座った。車が駐車場から道路へ出るとレンブラントは軽快
に車を飛ばしていく。することもなく私は流れる景色を見つめていた……と、急に前方の
窓を除いた全ての窓に黒いカーテンが引かれた。私が驚いてマルスを見ると、マルスはズ
ボンのファスナーを下ろして、自分のおちんちんを取り出す。
「な、な、な、何出してるのよ、マルスッ!!!」
 私はどもった奇声を発すると、両手で顔を覆った。いきなりあんなもの見せられて、私
の顔が驚きと恥ずかしさで火照っているのが自分でも分かる。
「座席が皮製シートとはいえ、あまり汚すなよ」
「保証は出来ないな、レンブラント」

 二人がこんな言葉を交わしたあと、マルスは急に私の前髪を掴み、私の顔を強引に引き
寄せた。私は髪を引っ張られた痛みで小さな悲鳴を上げたが、マルスのまるで家畜でも
見るようなその眼差しに見据えられて、恐怖をひるんだ。
「なに可愛い子ぶってんだ? さっさと咥えるんだよっ!」
「咥える……?」
 私は言われている意味が分からず、マルスの言葉を繰り返した。
「つまり、こういうことさ!」
 マルスは髪を掴んだまま、今度は自分の股間へ私の顔を押しつけようとした。私は必死
に抵抗して腕を突っ張り、頭を持ち上げようと力を込めた。
「約束を破棄する気かい?」
 挑発的なマルスの声が私の耳元で囁かれた。その言葉に私はハッとして体を硬直させる。
(……マルスには…逆らっちゃいけない…)
 悔しさと怒りが込み上げてきたが、私はその感情を心の奥に押し込めて抵抗をやめると
マルスのおちんちんを握り自分からその先端にそっと口付けた。その様子を見ていたマル
スの勝ち誇ったような笑い声を耳にして、私の頬を涙が伝った。
 私はマルスのおちんちんをまるでソフトクリームでも食べるかのように舐めたり咥えた
りを繰り返した。玉袋や口の届かない根元の部分は指で擦ったり揉んだりしているとおち
んちんは大きくなっていき、マルスは気持ち良さそうなため息をつく。もうどのぐらいや
っているのだろうか……いつの間にかマルスの感じる場所を把握出来るまでになり、私は
そこばかりを集中的に愛撫していた。

「出すぞ。ちゃんと飲み干せよ、くうっ!!」
 何が出るのか分からない私は聞こうと思って咥えるのを止めようとした瞬間、口の中一
杯に液体が充満した。慌てて吐き出そうとしたが飲み干せと言われたことが頭をよぎり、
私は苦いその液体を時間をかけて飲み干した。そしてマルスの指示どおり、マルスのおち
んちんを舐めて綺麗にし、口の隙間から漏れてシートに垂れたのしずくも犬のように舐め
てふき取った。それが終わるとマルスがおちんちんをしまい込んだので私は安堵した。こ
れでもう終わったのだと、解放されるのと思ったのだ。
「それじゃ、服脱げよ」
「えっ……!?」
 きっと私は情けない顔をしているのだろう。マルスが私を見て口を歪ませる。
「破り取ってもいいけどそれじゃ帰る時、君のほうが困るだろ?」
 心に押し込めた怒りが甦ってきて、私の全身が震えた。しかし私にはこの状況を打破す
るすべがない。もしあったとしても使うことは出来ないだろう。マルスの言葉に従うしか
ないのだ。私はゆっくり服を脱いで、パンツ一枚になった。その一部始終を舐めるように
眺めているマルスが、これ以上脱がない私に向かって『取れよ』と目で命令する。羞恥心
と屈辱に耐えて私はパンツも脱ぎ、一糸纏わぬ姿をマルスに晒した。
「フーン、まだ毛は生えてないか」
 そう言ってマルスは私が脱いだ服を助手席に置くと、代わりに小さめのジェラルミンケ
ースを持ち上げた。開けて取り出したものは輪が三つ付いたような形の革製の紐と真ん中
にゴルフボール大の玉が付いた紐だった。
「暴れられると厄介だからね。それと車の中とはいえ大声出されちゃかなわないから」

 マルスに促され、私は背中を向けると後ろ手に輪の付いた革紐で縛られ、残ったやや大
きめの輪の部分を首にはめられた。次いで玉を強引に口内へ押し込まれ、さるぐつわさ
れる。これで腕の自由と言葉を奪われてしまった。
「人間界には面白いものがたくさんあるよ。ぜひ君にも体感してもらいたいね」
 クックックと笑って、マルスは再びケースから何かを取り出す。それは文庫本ほどの大
きさのリモコンとそこから配線が伸びて二股になり、先端に直径5センチぐらいの吸盤の
ついたMDウォークマンに似た機械だった。
「ほおえ、あにふふふほひお!!」
 さるぐつわのせいで、何を言っているのか自分でも聞き取れない。『それで、何するつも
りよ!!』そう言いたかったのに……。力でも、言葉でも抵抗出来なくなった私に残された唯
一の抵抗。それはマルスを睨むことだけだった。
「これを塗ってから使用してください…か」
 マルスは私の視線を知ってか知らずか、ワザとおどけた様にボトルを取り出すと中の液
体を手に取り、私のおっぱいに円を描くように塗り始めた。透明で粘り気のあるその液体
の感触とマルスに肌を触られたおぞましさで鳥肌がたつ。たっぷりとまんべんなく塗りた
くって、さっきの機械の吸盤を私のおっぱいに押しつけるように張りつけると、マルスは
機械のスイッチを入れた。
「!!!!!」
私はいきなり乳首を強く捻られたような刺激に身体を強張らせた。吸盤から伝わる大き
な波のような振動は胸全体を手で揉まれているような感触だったが振動が強く小刻みにな
るにつれ、感触は乳首へと近づいていき最後は乳首を捻るような刺激を残して大きな振動
へと戻る。それの繰り返し繰り返し……。くすぐったくてしかたがない。

「う、ん〜〜〜、…ぐっ!!」
 自分で自分の身体が可笑しいと思い始めたのは、スイッチが入って5分ぐらいたったこ
ろだろうか?くすぐったさとは違う熱っぽい痺れを感じ始めていた。特に乳首への刺激は
身体の芯をジンと熱くさせるほどで、それを感じるたびに私はため息を付いた。マルスは
私の微妙な変化に気付いて、スイッチを止めた。吸盤を外し、私のおっぱいを至近距離か
ら凝視する。
「へぇ〜、小さいながらもツンと上向いてるよ。気持ち良かったんだ」
 マルスが乳首を指で弾くと、私はその刺激にうめき声を上げた。
「感度もよさそうだ。これ、使ってみようか?」
 ケースから次に取り出したのはさっきと似たような機械だったが、吸盤の替わりに小型
の洗濯ばさみのようなものが付いている。それで私の乳首を挟むと、私は痛みと痺れに苛
まれて荒い息をつきながら、座席シートに身を委ねるようにもたれかかってしまった。ス
イッチが入れられると、吸盤とは比べ物にならない振動が乳首だけを集中的に責めたてる。
私は出ない声の替わりにうめき声とよだれを垂らし、拘束されていると分かっていても腕
に思わず力が入る。腕の拘束具はギシギシと音を立て、それに伴って私の首を締め上げた。
(身体が……灼けるように熱い。私、どうしちゃったの!?)
 今まで味わったことのない刺激、味わったことのない熱さが私の身体を支配する。こん
なにも恥ずかしいのに、こんなにもマルスが憎いのに、そのマルスの前で私は喘いでいる。
「ここもこんなに濡らして……。君がこんなにも淫乱だとは思わなかったよ」
マルスが私の太ももを指ですーっとなぞるとその指を私の目の前に突き出し、親指と人
差し指で糸を引いて見せる。それが自分の股から流れているものだと思うと私は恥ずかし
さに火照った顔を背けた。

「あっはっは、なかなか可愛い顔を見せてくれるじゃないか、ティオ。ご褒美だよ」
乳首の機械はそのままに、マルスは私を四つん這いにさせた。とは言っても腕は拘束さ
れているので顔をシートに押し当て、お尻をマルスに突き出す形となる。マルスは私のお
尻を左右に広げるとやはりケースから何かを取り出し、それを私のおしっこをする所へぎ
ゅっと押し当てた。
(ううっ!! ん〜、ん〜、ん〜、んぐぅ……う〜、むぅ〜)
 ブゥゥゥゥンと音を立てて振動する卵のような物体を股間にあてがわれて、私は悶えた。
私の反応がそんなに愉快なのか激しく振動するそれを、マルスが面白がって私の股下にま
んべんなく走らせる。その度に私は感じて、身体をビクンと震わせた。
「おいおい…大洪水させやがって……。オレの操るこんなおもちゃで感じちゃってるの
か?ほら、ここなんか膨張して真っ赤に充血してやがる。そしてここ、ビラビラがヒクヒ
ク痙攣してんじゃないのか?」
 マルスは私の股間の状態を説明しながら、その部分に振動する物体を押しつけるため私
はマルスの言葉の半分も聞くことは出来なかった。おっぱいと股間の振動に刺激され、私
の意識は朦朧となるが、逆に身体は燃えるように熱く敏感になっていた。ほんのり紅色に
染まった身体は汗や股から流れた液体にまみれて、うっすら蒸気している。
「これだけ潤ってるなら、そろそろメインディッシュといきますか!」
 そう言いながらマルスが取り出したのは、おちんちんをかたどった模型のようだった。
しかしさっき見たマルスのものとは比べ物にならないほど太く長く、ゴツゴツしたいびつ
な突起物が多い。その模型をマルスは私の股間の割れ目にそって何度も往復させると、模
型は私が溢れさせた液体を粘つかせ光沢を放つ。

「いくよ」
 一呼吸置いて、マルスはその模型の先端を私の股間に当てると、グッと力を込めた。そ
の物体が私の股間でグリグリ捻られたかと思うと、引き裂かれるような痛みに襲われ、私
は叫んだ。
「やっと先端が入った。さすがにキツイな」
 深呼吸しながらマルスが呟くと、さらに模型を押し込めた。激しい痛みとお腹の中を擦
られるおぞましさに私は足をばたつかせ逃げようとしたが、マルスに全身で押さえこまれ
その場から動けなくなってしまった。マルスはなおも模型を押し込め、行き止まりに達す
ると、私から降りて助手席へと素早く移動した。
「ひたひ!(痛い!)ひたひ!(痛い!)ひたひ!(痛い!)」
私は強引に侵入してきた異物に貫かれて身体を大きく仰け反らせた。内部から突き上げ
られる圧迫感に呼吸が出来ず、充血した目は見開いて滝のような涙が流れる。痛みに五感
全ての感覚が奪われ、私は水から上がったブリのようにのた打ち回った。結合部から流れ
る血で私の太ももは真っ赤に染まっている。
「ふいへ!!(抜いて!!) おへがひ(お願い)、ふいへぇぇぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
 私の狂騒ぶりは予想を上回るものだったのか、マルスはもの珍しげに私を眺めていた。
この苦痛から逃れるためにこれを抜いてくれと願っても聞く耳も持たず、あざ笑っている
だけだった。


「マルス、付いたぞ」
 いつのまにか車が止まっていた。レンブラントは車を降りると、助手席のドアを開けて
その光景に眉をしかめる。わたしは救いを求めるようにレンブラントを見上げたが、奴
は汚らわしいもの見るような表情で私を睨んだ。
「シートを汚すなと言ったろう? なにも車の中でやらなくても良かったんじゃないの
か?」
レンブラントが不満そうにマルスに言うと、私の身体をビニールシートに包み始めた。
「ははは、少しおとなしくさせようと思っただけさ。ま、調子に乗ったかもな」
私の身体を弄んだ機械類をケースに戻し、私の衣類を持ってマルスも車を降りた。シー
トに包まれた私はレンブラントに抱きかかえられて車を降りると木々の香りが鼻腔をくす
ぐった。辺りを見まわすと、まだ昼までかなり時間があるはずなのにうっそうとした森の
中は光が届かない分薄暗くなっている。少し離れたところにこじんまりとした一軒家が立
っていた。
「短期契約の貸し別荘だよ。今日はあそこでパーティをするんだ。主役はもちろん、君だ。
色々と趣向を取り揃えてあるから、心行くまで楽しんでいってもらえるかい?フフ……」
 別荘へ向かいながら、マルスが子悪魔的な妖艶さと残虐さの入り混じった口調で私に話
しかけた。しかし私はそんなマルスの声を遠くに聞くだけで何も答えない。
(いやぁ、助けて……。…恵……。恵!  助けて、恵ぃぃ──────・・!!!!)
私は心の中で恵に助けを求めると、やがて意識を失ってしまった。




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