名無しさん@ピンキー @276


―――ブラゴは、何と思うだろうか―――
自分から彼を求めるのは、初めてだった。何時もは彼がその気になった時だけ彼が自分の部屋に来て
身を重ねていたのに、今回は自分から彼の部屋を訪れた。
コンコン
ノックをして、扉越しに聞いてみる。
「いいかしら、ブラゴ」
「ああ」
確認の後部屋に入ると、何時もの様に佇んでいる彼の姿が眼に映る。
「何の用だ、シェリー。」
一度、決めた事とはいえ、やはり自分から言い出すのは躊躇われる。
恥じらいに頬を染めながら、シェリーは言葉を紡ごうとした。
「ブラゴ…その…いつもの…夜の…事なんだけど…」
自分でも驚くほど歯切れの悪い話し方。何が言いたいのかまるで伝えられない。
「チッ…何が言いたいんだ、さっさと言え、シェリー」
この・・・!人がどんな気持ちでここにやってきたと思ってるの・・・!
頭に血が上りそうになる。
反射的に何か言い返してやろうと口を開きかけるが、辛うじて堪えた。
むしろ、この言い草に、勢いがついたのかもしれない。
「こういう用よ…」
言うと、強引に彼をベッドに押し倒す。
あまりにも意外な行動に驚いたか、ブラゴも抗おうとはしなかった。

…いつもとは、逆の体勢。そのまま、自分から唇を重ねていく。
「ん・・・む・・・っつ」
そのまま、舌を入れて、かれの口腔を蹂躙していく。
ただ、唇を重ねただけで、霞がかったように思考がぼやける。
「っつ・・・ハア・・」
ブラゴの上着をはだけて、露になった上半身に唇を移動させていく。
首筋、肩、胸・・・
彼の体…彼女を守り続けてきた体を思うさま蹂躙する。
勢いだけで始めたことなのに、気が付けば夢中になっていた。
「ん・・・ちゅ・・・んん・」
体の中から、熱いものが沸き上がってくる。
昂ぶりに身を任せ、そのままブラゴの服を脱がしにかかる。
「・・・」
ここまでされながら、ブラゴは何も言おうとはしない。只、彼女をジッと見つめている視線だけを感じる。
はしたない女だと思っているのか、自分を軽蔑しているのか。彼の気持ちがわからない。
羞恥と不安から彼とまともに目を合わせることもできない。
だが、体の熱は消えない。欲望の赴くままに彼の下半身を露にした。
露になったブラゴの男性自身は、大きく屹立していた。
…普段は責められるばかりで、自分から触れる事などほとんど無かったそれに、触れてみたいと思った。
竿の部分に指を這わせてると、ピクン、と動いた。
…驚くほどの熱さを持っていた。
「あ…」
堪え切れない。
ドロリ、と自分でもハッキリとわかるほど体の奥から蜜が溢れてくる。
ドレスのスカートをそっとまくり、下着を降ろす。
ブラゴの上に跨り、男性自身に自らの秘所を押し当てる。

腰を揺すって、位置を調節してから、グッと腰をおろす。
ヌチュッ……
濡れた音がした。
「あ…はぁあ…」
体の中に、熱いそれを受け入れていく感触。気持ちよさに陶然となる。
…コツンと男性自身の先端が、体の奥にあたる感覚がした。
ズン、と重い衝撃と背中にゾクリとした旋律が走る。
知らず知らず、自ら腰を使い始めていた。
「んん…ああぁ…ああ!」
熱く硬い男性自身が胎内を上下していく。
先端が、体の奥を突き上げ、また離れる。
体の内側から、快感が湧きあがってくる。
火が付いたように、熱い。
「あっ、あああっんあああ!」
どこかへ、飛ばされるような感覚が体の内から沸き起こる。
夢中になって激しく腰を動かし続ける。
「…クッ」
ブラゴが、うめくような声をあげた。
体の中で、男性自身が急に膨れ上がるような感覚がする。
ドクンッ、と体の奥で熱い液体が飛沫のを感じたとき、
シェリーは、一気に高みへと押し上げられていった。
「イクッ!」
シェリーは、背を仰け反らせ、ブラゴの体の上で、絶頂に達した。

行為が終わったあと、シェリーはブラゴの胸に顔を押し付けたまま、動こうとはしなかった。
熱が過ぎ去ってみれば、自分のした事を思い出すだけで、顔から火が出そうになる。
…不意に、肩をつかまれた。
そのまま体を持ち上げられ、彼と顔を向き合わされる。
そして、少し乱暴に唇を重ねられた。
「ン…ふ――――」
ブラゴから絡ませてきた舌に、自分も合わせる。
「ん…ン…ちゅ…」
その最中にも、彼の瞳は、彼女をジッと見つめていた。
その瞳は、常と変わらず、冷たいようでいて―――どこか優しい。
(ああ…)
そのまま、瞳を閉じて彼とのキスに没頭する。
…やがて、どちらからとも無く、唇を離す。
「ブラゴ…ゴメンナサイ。ありがとう。」
普段、なかなか言えないような素直な言葉が口から出る。
「フン…別にいい」
普段と変わらない言葉にすら、体に暖かいものが流れ込んでくる気がする。
「ここのところ、シテなかったからな。溜まってたんだろう?」
「…なんですって」
…この男。
「まあ…これからはしたくなったら何時でも…」
「貴方、わたしがどんな気持ちだったかも解らないの!」
何時もの口喧嘩が始まる。
お互いに素直に気持ちを伝えられるようになるのは、まだ先のようだった。



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