名無しさん@ピンキー @261


「ガッシュ……ハイ、コレ……」
頬を赤く染めながら、ティオはガッシュにチョコレートを差し出す。
チョコレートには、拙いもののかわいらしいラッピングが施されている。
恵に教わりながら、手作りチョコレートを作るところからラッピングまで、
全てティオが自分で行った、彼女の心のこもった一品だ。
だが……(もし、いらないなんていわれたら……) そういうことを考えてしまうと
「いっとくけど、義理よ、義理なんだからね!」
つい、こんなことを言ってしまう。
もっとも、彼女の不安は杞憂に終わり、
「ウヌ、ティオ、ありがとうなのだ!」
ガッシュは満面の笑みを浮かべてチョコレートを受け取る。
「清麿に教わったのだ。今日は女の子が、仲の良い男の子にチョコレートを渡す日である、と」
「だから、本当に嬉しいのだ!」
そんな顔で、そんな事を言われると
「…………ぅ」
頬どころか、顔を真っ赤に染めて、うつむいてしまう。
ティオのそんな様子を見て、ガッシュの表情が僅かに曇る。
「ティオ、どうしたのだ?熱でもあるのか?」
「ち、違うの!なんでもない、平気よ……」
そう応えた後、赤く染めたままの顔を上げ、ガッシュに向けて
「私の真心が込められてるんだからね!ありがたく受け取りなさい!!」
(よかった……渡して)心の内でそう思いながら、
ガッシュへの想いと、喜びを込めた笑顔で、彼にそう言った。



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