名無しさん@ピンキー @591


「あんな考え方をする子達もいたのね」
赤い魔本の子とそのパートナーを見逃してホテルに向かう車の中で
シェリーはそう呟いた。
「フン…百体もこっちに来ているんだ…タマにはあんな奴もいるだろう」
「それはそうだけど…」
身も蓋もない返答に白け、沈黙が続く。
ホテルに着いて食事を済ませるとシェリーは窓の外を見下ろした。
暗いと言っても賑やかなネオンと車で出来た光の列。
それらにぼんやりと浮かび上がる無機質な高層ビル。
なんとなく居心地の悪い光景に違和感を感じ、明日さっさとこの国を離れようとそう思った。
「何を見ている?」
後ろから声が掛かった。それは見なくても分かる、パートナーの声。
「うん…折角見晴らしがいい所に泊まってるのに見える景色がこれじゃあ詰まらないと思ってね」
しかしブラゴはシェリーの内心を言い当ててしまう。

「まだガッシュの事を考えていたのか…くだらん」
ガッシュ…とは赤い魔本の子の事だろう。
「どいつもこいつもお前の理論で言う『悪』な訳じゃねえ。…当然ガッシュだっていずれは倒さなければならなくなる。甘い考えは捨てるんだな」
言い当てられて頭に血が上る。
「そんなの言われなくたって分かってるわよっ」
ブラゴに対して声を荒げる。
「他の99体の魔物の子は全員敵、全部倒して貴方を王にする、そう言ってるでしょう!?もう黙って!」
自分でも分かっていながらブラゴへの八つ当たりを止められない。
後悔が訪れ、沈黙が続く中、ブラゴがぼそりと呟いた。
「フン…ならば黙ってやる」
え、と思ったのも束の間、シェリーの唇はブラゴに塞がれていた。
口付けに驚いて激昂が落ち着いた頃、漸くブラゴの唇がそっと離れた。
脱力してペタン、と窓際の出っ張りに腰掛けてしまったシェリーをブラゴは見下ろす。
「な、何を……」
不安になるシェリーに対しブラゴは何も言わない。
深く口付けてその唇を鎖骨まで滑らせる。
「んん…ふぁ‥」
力なく抵抗する手を押しのけて服の上から胸を揉みしだく。

息苦しくなるがブラゴからの口付けは続く。
喘ぎ声も飲み込まれ、ぐったりと脱力したシェリーをブラゴは無理矢理立たせ、窓に押し当てた。
「支えていろ」
そう言うとスカートを捲り上げて下着をずり下ろす。
ブラゴの手がむき出しになった腰に添えられて
その中心に固い物があてがわれた。
やがて訪れる衝撃にシェリーは身を固くしてぎゅっと目を閉じる。
「少し力緩めろ」
そう言うと服の下に手を潜り込ませて背中のラインを爪でなぞらえた。
ぞくぞくとした感覚に肌が粟立ち身をよじった。
その力が抜けた瞬間をブラゴは見逃さず、シェリーの体内に一気に侵入を果たした。

「ああっ…んん、こんなっ…の」
後ろから叩きつけられてシェリーは窓に押し付けられてしまう。
高層ホテルの最上階、こんな所はどこからも見えないなんて分かりきっている。
けれど
「いい眺めだな」
等と耳に息を吹きかけられながら言われるとそんな事実は吹っ飛んでしまい
ただただ羞恥に身体が熱くなるばかりである。
「そん…な事…」

いわないで。そう言おうとしたのだが急にブラゴの動きが早くなり、
息が詰まる程に身体の中をブラゴが蹂躙する。
「ああんっ…んっ…もぅ……」
大量に分泌される愛液に多少滑りは良くなるものの、それで感じなくなるなんて事はなく。
身体の芯から湧き上がる何かに最後の瞬間が近い事を知らされる。
「ふぁ…ああっ……ブラ‥ゴ………」
「クッ」
ブラゴはシェリーの体内に放出した。

朝目が覚めると既にブラゴの姿はなく、爺が朝食の準備を進めていた。
「ブラゴは?」
「食事をしに行くと仰って外出されました」
「そう……」
(私達はどんな関係なんだろう…)
無愛想で愛想のカケラもないブラゴの事だ、
利害が一致しただけ、と彼は言うだろう。

けれど、夕べシェリーの身体に刻み込まれた乱暴だけど優しい行為はとてもそう考えているとは思えなかった。
考えれば考える程シェリーの頭の中は混乱していく。

「ブラゴのバカ」
そう呟いて手渡されたコーヒーを一口飲んだ。

それはシェリーには少し苦かった。


終わり

左メニューが表示されていない方はここをクリックしてください