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「…上がるわよ。かまわないわね?」

初めて会った日と変わらぬ威圧感でその女性は高嶺家に現れた。
最強と恐れられる黒い魔物ブラゴの本の使い手、シェリー。

突然の訪問に清麿は驚きつつも、シェリーを迎え入れようとし…ふと違和感を感じた。
高嶺家の門の前にはいつものロールスロイスが停まっているし、いつもの初老の召使らしき人物も立っている。
けれど。
一番いなければならないはずの黒い魔物が、いない。
シェリーの右手を見ても左手を見ても、そこにあるべきフレイルと…そして黒い本が、ない。

「………?」

だが、まさかあの黒い魔物が倒されるわけはない…、きっと休戦日でこちらを気遣ってくれたんだろう、と
自分に都合良く言い聞かせながら、清麿はシェリーを自分の部屋に通した。


「赤い本の子はいないの?」

シェリーは部屋に入るなり、清麿にそう聞いた。

「ああ、今日はサンビームさんの…あ、本の持ち主仲間がこの近くに住んでるんだ。
 そこに遊びに行ってる。急ぐ用なら電話して呼び戻せば2〜3分で帰って来るけど」

それにはおよばないわ、とシェリーは軽く首を横に振った。
ならば、と、清麿はさっきから疑問に思っていた事を聞こうとした。
黒い魔物が、今日はなぜ一緒ではないのか、と。
だが。


「ブラゴは魔界に帰ったわ」

「!!」

清麿は一瞬、我が耳を疑った。驚愕で、声が出ない。
シェリーは無表情に清麿を見据え、淡々と続けた。

「ブラゴの本は燃やされたの。あの子は魔界に帰ったわ」

「ま、まさか…そんな事が…」

それだけを言うのが精一杯だった。清麿の背に冷や汗が流れる。
まさか、まさか…、あのとてつもなく強い魔物が。
数十体におよぶ千年前の魔物達を、ものの数秒で倒してしまった黒い本のコンビが。

ふ、とシェリーは少しだけ俯き、眉を寄せた。

「あなた達は負けないで……。赤い本の子に伝えて。必ず王になって、と。
 …それを言いに来たの。突然お邪魔してごめんなさいね。」

失礼するわ、とドレスの裾を翻しシェリーは部屋を出て行こうとした。

「…!ま、待ってくれ!」

我に返り慌てて呼び止めた清麿を、シェリーはどこか憂いを帯びた瞳で振り返った。
その瞳に、清麿は再び言葉を失いそうになった。

「……なにかしら?」

「あ…えっと、その…そ、それだけを言いに来たのか?」

「…そうよ」

とてもそういう風には見えないんだが…。清麿は心の中で呟いた。
シェリーは威圧感こそ変わらないものの、どこかしら虚ろで寂しそうな空気を纏っていた。
今にも切れてしまいそうな朽ちた糸のような。

「あ、あのさ…もし良ければ、聞かせてくれないか。
 …君の本を燃やした魔物の事とか……」

シェリーの肩がびくっと跳ね、息を飲んだ微かな音が聞こえた。
目を見開き、小刻みに震えている。
清麿は自分の言葉を後悔した。
いくら冷酷で非情に見えるシェリーでも、パートナーを失えばもちろん悲しいのだろう。
それにシェリーとあの黒い魔物は、清麿とガッシュのそれとはまた違う強い絆があった。
強大な力と信念で、確実に頂点に向かっていた。
そんな黒い本のコンビが負けてしまったなんて、
あの黒い魔物が魔界に帰ってしまったなんて、とてもじゃないけど信じられない。

だが、今のシェリーの瞳が……、それが真実なのだと告げている。

「あっ、ごめん!スマナイ!!無神経な事を言って悪かった!」

わたわたと慌てる清麿からすっと目を逸らし、シェリーは大きく息を吐いた。

「………謝らなくてもいいわ。
 でも、何も話せない。……相手の魔物の事なんて忘れたもの。」

「………」


「………イイエ、本当は忘れてなんかいないわ。
 思い出したくないの、最後の闘いの事を……あの子が、ブラゴが……」

シェリーは俯き、肩を小刻みに震わせながら呟いた。
その表情は伺えない。握り締めているのだろう両の拳が白く震えて痛々しい。

「…もういい、言わなくていいから…」

「…必ず王にすると誓ったのに、私はあの子を王にしてあげられなかった…!」

「………」

「それなのに!…あの子は最後の瞬間に、おまえはよくやった、って…!
 いつもの…あの…っ、…かっ、可愛気のっ、ない、ひっ、皮肉、そうな、笑顔で……っ!」

ぽた。ぽたぽたぽた。
絨毯に小さな染みが落ちた、と思うと同時に、シェリーが膝から崩れ落ちた。

ぽたぽたぽた。シェリーは声も出さずに泣いていた。


清麿は何を言えばいいのか何をすればいいのかわからず、
やりきれない思いでシェリーを見つめていたが、やがてシェリーの前にしゃがみこんだ。

「…スマナイ…辛い事を思い出させた。
 ……今こんな事を言うべきじゃないかもしれないが、俺は…俺達は負けない。
 俺は必ずガッシュを王にする。
 あんたの本を燃やした奴も、きっと俺達が…俺とガッシュが、倒すから」

清麿はシェリーの両肩に手を置いて、力強く告げた。
シェリーはその言葉に弾かれたように伏せていた顔を上げ、涙を拭う事も忘れて清麿を見た。
清麿の、決意に満ちたまっすぐな瞳。
それを見てシェリーの瞳にはますます涙が溢れてくる。

あ、いや、もし俺とガッシュが無理だったとしても、俺達には力強い仲間もいるから、
俺達が倒すなんてちょっと傲慢だったかな、悪い、
でもきっと俺達が、俺達がもし倒れても俺達の仲間の誰かが、きっと、だから。
清麿は慌ててそう付け足した。


「………」

シェリーは無言で清麿の胸に飛び込んだ。
結果、絨毯の上に清麿を押し倒した形になる。

「ぅぉぉっ!??」

年頃の女性に抱きつかれ押し倒されているという事態に、清麿の頭の中はパニックを起こしそうになった。
シェリーは清麿の首元に顔を埋め、小さく嗚咽をあげている。

冷静に、冷静に…そう口の中で呟きながら、清麿は漠然と考えた。

もしかしたらシェリーは、今日まで泣けなかったのかもしれない。
あの黒い魔物が消えていく時も。消えた後も。
ただ強い瞳で、本を燃やした魔物を睨み、誰かに仇を…思いを託すまでは、と。

清麿はそろそろとシェリーの背に手を回し、なだめるように軽く撫でた。
何も言わずに受け入れるシェリー。

が、ほんの数回、撫でたところで。ふとシェリーが顔を起こして清麿の顔を見た。

シェリーの涙に濡れたままの睫毛と青い瞳が段々近づいて………


「!?」


清麿の頭の中は今度こそパニックを起こした。
唇に触れている、温かく柔らかいものがシェリーの唇なのだと理解するのに数秒を要した。

「〜〜〜〜〜!!!」

清麿の目に映るのは、絶えず涙を溢しているシェリーの閉じた瞼だけ。
シェリーは硬直したままの清麿の唇を割って、口腔に舌を差し入れた。

シェリーの舌が清麿の舌にからみ、歯列をなぞる。
今までに感じたことのない、まさに貪られている、という感触に、清麿の思考は麻痺していく。

ちゅ…ぴちゃ…

いつしか清麿もシェリーの舌の動きに応え、舌をからめ、唾液を吸い、貪りあっていた。


どれだけの間そうして唇を貪りあっていたのか、
シェリーはふと顔を上げたかと思うとその唇を清麿の唇から頬、耳、首元のあたりへと移した。

清麿は熱に浮かされたような、荒い呼吸を繰り返すしかできない。
どうしていいのかわからない、さっきまでシェリーの背を撫でていた両手をパタリ、と絨毯に横たえる。
シェリーの髪の、甘いバラのような香りが、肺と思考を侵食していく気がした。

首筋をすぅっと舐め上げられたかと思うと、次は耳の輪郭をなぞるようにまた舌が滑らされる。
耳たぶをはまれ、清麿はびくっと身を捩じらせる。
いまだ止まらないシェリーの涙が、清麿の頬や首筋を濡らし、滑り落ちていく。

シェリーは清麿のTシャツの裾を捲り上げ、わき腹から胸へと撫で上げた。
清麿の、14歳にしてはたくましい胸をさわさわと撫で回す。
男特有の小さな乳首を見つけ、指の腹で円を描いたり、親指と人差し指で摘んでくりくりと捏ね回す。

「シ、シェリー……!…うぁっ」

シェリーは清麿の呼びかけには答えず、体を少し下にずらしたかと思うとすぐさま
清麿の小さな乳首を口にふくんだ。
唇の上下で少し強く挟み、ちろちろと舐め回し軽く噛み、ちゅうぅっと吸い上げた。
初めて味わう感覚に、清麿は目を強く閉じ、また身を捩じらせた。

シェリーの手の動きは止まらず、やがて清麿の中心部に辿り着いた。
ジーンズの上からでもわかる程、そこは熱を持ち硬く膨れ上がっている。

清麿は息を飲み一瞬硬直したが、為す術もなくシェリーにされるがままになっている。
シェリーはすかさず清麿のジーンズのファスナーを下ろし、トランクスの隙間に手を差し入れ、
熱く漲っている清麿の分身を軽く握った。
指先を、まるでピアノでも弾くように微妙に動かしながら、軽く上下させる。
さきほどからの乳首への刺激と相まって、清麿の分身はさらに熱さと硬さを増していく。

「くぅ…っ、ぅ、ぅぁ…」
清麿は既に我を忘れ、シェリーから与えられる愛撫に身を委ねるしかできない。

シェリーの唇が、清麿の乳首から段々と下へ移動する。
唇を離した後の乳首をまた指先で捏ね回しながら、
やがてシェリーの唇は清麿の分身に辿り着いた。

「…っ!」
ちろり、と先端部分を舐め上げられ、清麿はびくんと体を跳ねさせた。

片手で竿の部分を軽く撫でながら、先端にちゅっちゅっと何度も口付けたり、
裏筋や鰓のあたりを小刻みにちろちろと舐め回したり、大きく舐め上げたり、吸い付いたり。
シェリーの涙と唾液と、そしておそらく清麿の分身から滲み出ているであろう液体で
その周辺はびしょびしょになっている。
それでもシェリーの動きは止まらないどころか、ますます激しくなっていく。

ちゅ…ぴちゃぴちゃぴちゃ…ちゅっちゅるっ

清麿は肩で息をしながら、限界が近い事を感じていた。
シェリーが清麿の分身を口に含み、一気に喉の奥に届きそうな程に咥え込んだ。
上顎、頬の内側、舌の裏表、唇、手、すべてを使って攻め立てながら、口腔に出し入れする。

ちゅぽんっじゅるっちゅるっじゅるるっ

「…っ、だめだ、もう…っっ!!」

清麿の腰がびくんと跳ね、シェリーの口の中に熱い液体がびゅぅっと吐き出された。
液体の放出が止まったのを見計らって、
シェリーはこくりと音をたててその液体を飲み込んだ。

だが、それでも清麿の分身から唇を離そうとはせず、ゆるゆると愛撫を再開する。

半ば放心状態で、呆然としていた清麿は、そこでやっと我にかえった。
とはいっても、まだ夢心地である事に変わりは無い。

自分の股間のあたりに視線を向けてみれば、いまだ涙を流しているシェリーの伏せた顔が見えた。

清麿に、後悔とも罪悪感とも、同情とも憐憫とも形容しがたい気持ちが押し寄せてくる。
とてつもなく強く、怖い女だと思っていた相手が、声も上げずに泣きながら、何かを求めているのだ。
けれど、何を言えばいいのかわからない。
どうしていいのかも、わからない。
こんな…こんな事すべきではない、なんてもちろん今さら、言い切れない。

再びのシェリーの愛撫に攻められながらも清麿は考えていた。

「……シェリー」

迷いながらも清麿が名前を呼ぶと、
シェリーはぴく、と肩を震わせてから、唇はそのままに目だけで清麿を見上げた。
涙に濡れたままの、どこか苦しそうな表情。

「………どうして……どうすれば……」

清麿の問いにシェリーは何も言わず、また目線を落とし分身への愛撫を続けた。
そこは、ほんの数分前に果てたばかりとは思えない程に、また熱く硬く猛っている。

清麿はどうするべきか、とシェリーを見ていたが、シェリーがおもむろにごそごそと動き始めた。
清麿の分身を口に含んだまま、ぎこちなくドレスを脱いでいく。

ふぁさっ。部屋の隅に投げられたドレスと下着が、軽やかな音をたてて舞い落ちた。

一糸纏わぬ姿となったシェリーは、分身から唇を離し、無言で清麿に跨った。
シェリーにかける言葉が見つからず、清麿はされるがままになる。

数々の戦闘でついた傷跡こそいくつか残っているものの、白人特有の白くキメ細やかな肌。
いつもはドレスのデザインと巻き髪で隠れてあまり目立たないが、かなり大きめで形の良いバスト。
そしてその先端の、淡い桃色の艶やかな乳首。
貴族らしく、幼い頃からコルセットで締め上げられて作り上げられただろう細く折れそうなウエスト。
その下部にある、金色の薄い茂み。

清麿は女性の裸を、医学書などの本で見た事はあっても、実物を見るのはこれが初めてだった。
こんなに綺麗なものなのだと、初めて思った。

シェリーは無言のまま清麿の分身に手を添え、自らの腰をゆっくりと清麿の上に落としていった。

つぷ、ちゅぷぷ、と音がして、清麿の分身がシェリーの泉の中に吸い込まれていく。

「…くっ、ぁぁ…!」
さっきまでの口や手での愛撫とは格段に違う、強い快感に、清麿は顔を歪めた。
熱く、ざらざらと吸い付いてくる。

「…ん…んんっ」
腰を落としきり、泉の最奥まで清麿を迎え入れたシェリーが、ぶるぶるっと震えて声を漏らした。
そして、ゆっくりと腰を動かし始める。

ぬちゅ、ちゅぷ、ぬちゅ、ちゅぷ………

「…っあ、ん…、は、……あ…っ」

清麿は快感に耐えながらも目を開け、小さく声を漏らすシェリーを見上げた。
とめどなく涙を流しながら、ゆるやかに揺れ、上下する。
シェリーの涙が、シェリーの腰の動きに合わせてぽろぽろと零れ落ち、その胸を濡らしている。

清麿はそろそろとシェリーのバストに手を伸ばしてみた。

「…あっ…」

とても柔らかく、しっとりと汗ばんで、手に吸い付いてくるようだ。
先程シェリーが清麿にしたように、清麿もシェリーの胸をさわさわと撫で回してみた。

「ん…んんっ…は、あ…っ」

気持ちいいのか…?
見上げながら清麿は両手でその乳房を包み込み、人差し指と中指の間に淡い桃色の乳首を挟んで
シェリーの腰の動きに合わせて円を描くようにゆっくりと揉む。

「…っ、あっ、……っ、も、もっと…強くして…っ」

シェリーに与えられる快感とその言葉が、清麿のわずかに残っていた冷静さを吹き消した。
頭の中が真っ白になり、ただ目の前のシェリーを求めたい衝動に襲われる。

清麿は片手をシェリーの背に回して自分の方に引き寄せ、
すぐ目の前に迫った、白く豊かな乳房の先端の桃色の突起に吸い付いた。

「!あ、あぁっ、んんんっ…!」

もう片方の手でシェリーの張りのある尻を強く掴み、下から腰を突き上げる。

「はっ、ああっ、あっあぁあっ、あっ、あっ」

ぬちゅっずちゅっという水音とシェリーの嬌声が響く。


初めてのたとえようもない快感に今にも達しそうになっている清麿の頭を、
ふと、ガッシュや今までに出会って来た魔物とそのパートナー達の影がかすめた。

コルルをはじめ、ダニーやヨポポが魔界に帰った時、
そのパートナーがどれだけ泣いていたのかを、清麿は自分も泣きながら見ていた。
初めてタッグ同士で闘った時の相手の一組、
ゾボロンと呼ばれていた魔物の消える様を見て、そのパートナーは
泣きながら手を伸ばし、その名を叫んでいた。
ロップスが魔界に帰った事を告げに来たアポロは静かに泣いていた。

千年前の魔物達との闘いの中、魔界へ帰っていった仲間達…
キッド。パティ。ビョンコ。レイラ。
ナゾナゾ博士もウルルもアルヴィンもアルベールも…、そして、仲間みんなで泣いた。

キッドの本が燃えた時、ベルギムEOという千年前の魔物の本も燃えたという。
その魔物のパートナーのダリアという女性…
月の石の呪縛から解放されて、操られていた時の記憶は消えているのに
魔物の事も覚えていないはずなのに、泣いていた。
大切な何かを、失くしてしまった気がすると。喪失感が消えないと。


ガッシュが魔界に帰ってしまったら…やはり悲しいのだろうか。
最後まで生き残って、王になって、たとえ魔界への帰還がガッシュにとって輝かしい旅立ちだとしても。

けれど、清麿には仲間がいる。
本の使い手同士として、わかりあい、守りあい、助け支えあう仲間達がいる。
魔界へ帰ってしまった魔物達の事を語りあえる、共に泣いてくれる仲間達が、いる。


シェリーは、一人だった。
ゾフィスの本の使い手でありシェリーの親友であったココという女性は、
魔界の王を決める闘いに関するすべての記憶が消されている。
いつでも傍らにある召使らしき初老の男性もいるのだろうが、
魔物のパートナーでなければ感じない事が、わからない事が、きっとたくさんある。
シェリーは、一人で喪失感を…悲しみを堪えていたのだ。

清麿は想像した。
もし自分に仲間がいなかったら。
ガッシュが一人魔界へ帰り、自分一人でその悲しみを抱えたとしたら。


いつまでも感じていたい感触を、すぐにでも解き放ちたい己の欲望をなんとか抑え
清麿はシェリーから分身を引き抜いた。

「えっ…」

突然の清麿の行動に、シェリーが呆然となる。
清麿はそれにはかまわず上体を起こし、
お互いの体勢を入れ替えるようにシェリーの背をゆっくりと絨毯の上に押し付けた。


開け放した窓から差し込む陽光と風が二人を包んでいる。

清麿は片手をシェリーの頬にあて、
とめどなく零れる涙をすくうように左右に何度もくちづけた後、濡れた唇にもくちづけた。
舌を差し入れ、口腔全てを舐めるように吸うようにくちづけながら
先程まで頬に添えていた手を下ろしていく。
首筋をゆっくりと上下になぞり、鎖骨を撫で、胸の間を滑らせる。

「ん…んんん…」

くちづけられたままのシェリーが、喉の奥だけで喘ぐ。
清麿はそのまま、手のひら全体で豊かな乳房を包み込み、
先端の突起を指の間で挟み込んで刺激しながらゆっくりと少し強めに揉みしだく。

「んっ、んん、んんんっ…」

清麿はくちづける場所をだんだんと下ろし、首筋から鎖骨、乳房を舐めたり
弱く強く吸い付きながら、やがて揉みしだいている方とは反対の乳房の先端の突起を口に含んだ。

「ぁ、あ…ん、あっ…はぁ…っ」

唇の上下で挟み、舌の先で乳首を押したり、輪郭を辿るようにころころと転がしたり、
乳房そのものを引き上げるように強く吸い上げたり。
ちゅぽん、と音をたてて清麿の唇から離れた乳房は、
プリンのようにたぷたぷと震えながら元の形に戻り、清麿はまたその先端を口に含んで弄ぶ。
そして片方の乳房を揉みしだいていた手を下ろしていった。
わき腹をつーっとなぞり、腰のラインを、太もものラインをゆっくりとなぞる。

やがて清麿の指は、シェリーの金色の茂みに辿りついた。
さわさわとした茂みをかきわけ、指先を割れ目に滑らせた。ぬるん、とした感触が伝わる。

「あっ、ぁあんっ、あ、あん、あっ、あっ、あ」

清麿はそのまま割れ目を指先で上下に何度も擦り上げ、柔らかな肉の感触を楽しむ。
シェリーの泉から溢れる蜜が清麿の指をねっとりと濡らしている。
割れ目の上部に小さな突起を見つけ、そこを指の腹で撫で回すと、シェリーの腰が小さくくねった。

「は、あ、あぁ、んっ、あっ、あ、あんっ」

清麿は体をずらして乳首を弄んでいた唇を離し、シェリーの膝の裏に手を入れ
その両足を大きく開かせた。清麿の眼前に、シェリーの花園が晒される。
シェリーはさすがに恥ずかしいのだろう、手で口元と目を覆って顔を逸らした。

清麿はかまわず、その花園にくちづけた。
舌で割れ目を何度も上下に舐め、蜜を溢れさせる泉に吸い付き、蜜を啜る。
泉に舌を出し入れし、奥からとめどなく溢れてくる蜜をかきだす。
上部のぷっくりと膨らんだ花芽をちろちろと舐り、吸い付き、口に含んでころころと転がしながら
泉にゆっくりと指を一本だけ差し込み、抜き差しする。

「あっ、あぁん、あん、あっあぁん、あん、あっ、ああぁん」

ぴちゃぴちゃ…ちゅぷっ…ちゅるっちゅるるっ…ぴちゃ…ちゃぷ…ちゅぷっちゅぷん

シェリーの泉の中がきゅうきゅうと収縮し、清麿の指を締め付ける。
清麿は花芽を口に含んで舌でつつき吸い付きながら、
指を奥まで差し込み、指先をくにくにと動かして内部を擦り上げた。

「っ…あ、あっ、あ、あぁあ、あ、あ、あああーーーっ!」

清麿の指がぎゅぅっと締め付けられたかと思うと
びくびくっとシェリーの腰が大きく跳ね、ぷしゅっと噴出した蜜が清麿の手を濡らした。

「ん、はぁ、はぁん…ん…んん…」

清麿はゆっくりと指を抜いて体を起こし、再びシェリーの膝の裏に手を入れて
腰を持ち上げるように浮かし、
たったいま絶頂を迎えたばかりのシェリーの泉に己の分身を沈めた。

「っ!ぁ、あああ…っ!」

シェリーの泉の中はひくひくと収縮を続けていて、清麿はそれだけで達してしまいそうだ。
それをなんとか堪え、ゆっくりと出し入れを始める。

「はぁん、あん、ぁあん、んっ、あっ、あぁっ」

ぬちゅ、にちゅ、じゅぷっ…粘着質な音とシェリーの嬌声が清麿の耳に響く。
シェリーの内部は、清麿の分身を余すところなく熱くざらざらと包み込んで締め付ける。

「あっ、あん、あぁん、あっ、あん、あっあっあぁんっ」

シェリーの涙が、いつのまにか止まっている。
頬を紅潮させて眉を寄せて快感に身を任せている。

清麿は片方の手の指でシェリーの花芽を摘み、捏ね回しながら
抜き差しのスピードを少しずつ早めていく。

「あっ、あっあっあっ、ああっ、あっ、あっ、だめ、もう、あっ」

清麿はその言葉を聞いて、分身を思いっきり奥まで突き入れ激しくピストンした。

「あ、あっ、あ、あああああーーーっっっ!!」

「くっ…!」

シェリーの内部が再び強く清麿の分身を締め付け、
それと同時に清麿の分身から白濁した欲望が解き放たれる。
清麿から放出された欲望を吸い上げるように、シェリーの内部は収縮を繰り返す。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

清麿の欲望の放出と、シェリーの内部の収縮が収まるのを待ってから、
豊かな胸の谷間に顔を埋めるようにして清麿はシェリーの上に倒れこんだ。
シェリーは無言で清麿の頭をかき抱いた。

「はぁ、はぁ……」

お互いの呼吸が落ち着くまで、二人はただ、そうして抱き合っていた。
呼吸が落ち着いたのを見計らって、清麿はシェリーから分身を引き抜き、体を起こした。
シェリーの泉から、清麿の欲望とシェリーの蜜が混ざり合った物が、どろり、と流れ出る。

と、ここで清麿が我に返った。

「ご、ごめんっ!!俺、中に出し…」

「大丈夫よ」
清麿の言葉を遮ってシェリーが言った。

「ピルを飲んでいるの。魔物を追う旅の最中に、月のモノが来るのは避けたかったから…
 ……もう、飲まなくてもいいのだけど……まだ残ってるから」

「そ、そうか…」

シェリーは少し寂しげな表情で言いながら、ティッシュで体を拭き、服を着た。
清麿は自分も服を着ながら、複雑な顔でその様子を見ていた。

「…………あ、あのさ、うまく言えないけど…自分の中に溜め込むのは良くないと思う。
 あ、いや、ええと、つまり……
 話したい事とか…そういうのあれば、いつでも聞くから。」

「……」

すっかり身支度を整えたシェリーが、無言で清麿を見詰める。

「魔物や魔界に関する事を話せる相手って限られるだろ?俺には仲間がいるがアンタは…」

ほら、魔物ってなんだかんだで手がかかるというか食費がかかるというか、
いやそもそも人間界の常識が通じなくて時々とんでもない事してくれるとか、あ、いや、つまり

…などと、あたふたと話す清麿を見て、シェリーはくすっと笑った。

「フフ、そうね……今度ゆっくり、ブラゴの悪口でも聞いてもらおうかしら」

シェリーのその微笑からは、高嶺家を訪れた時の虚ろで張り詰めたような雰囲気が消えていた。
泣き腫らした目ではあるが、それでもふんわりとした、柔らかな微笑。
ほんの少しでも、シェリーの心を癒せたのだろうか…、そうだといい、と清麿は考えた。

風が、カーテンを揺らした。その時。

「ただいまなのだー!」
「メルメルメ〜!」

バタバタバタ、バタン。
清麿の部屋のドアを勢い良く開けて、ガッシュとウマゴンが飛び込んで来た。

「ヌ、おぬしは!?」
「メルメルメ〜!?」

飛び込んで来た時のそのままの体勢で、ガッシュとウマゴンが目を見開いて震え、
滝のように冷や汗を流している。
本を燃やしに来たと思っているのだろう…と、清麿が事情を説明するべく口を開きかけたが、
それを遮って、シェリーがガッシュとウマゴンの前にしゃがみこみ
一人と一匹に目線を合わせた。

「安心して。今日は闘いに来たんじゃないわ。」

「そ、そうなのか?」
「メ、メル…」

「エエ。………ブラゴは、魔界に帰ったわ。あの子の本は、燃やされたの」

「ウヌ!?」
「メル!?」

「…あなたは…あなた達は、負けないで。今日は、それを言いに来たのよ」

「そ、そうであったか…」
「メルメル…」

「…王に、なって。あなた達の中の誰かが、必ず、王に。…必ずよ」

「ウ、ウヌ!私もウマゴンも、他の仲間も頑張るのだ!必ず私達の誰かが、やさしい王様になるのだ!」
「メルメルメ〜!」
ガッシュとウマゴンは胸に手を当てて、決意を秘めた瞳で言う。
清麿はその様子を微笑を湛えて見守っている。

「…エエ…任せたわよ…」

シェリーは、ふ、と微笑し、ガッシュとウマゴンの頭を撫でてから立ち上がった。

「それじゃ…失礼するわね。…また来てもいいかしら?」

「あ、ああ、もちろんだ。いつでも来てくれていい」
「もちろんなのだ!今度はいろいろ話を聞かせてほしいのだ」
「メルメルメ〜」

清麿、ガッシュ、ウマゴンが揃って返す。

シェリーはにこ、と笑って部屋を後にする。清麿が門まで送るべく後を追った。

「ここでいいわ」

玄関で靴を履いて、ドアを開きかけたシェリーが振り向いていった。

「あ、ああ。………俺達、頑張るから。絶対、俺達の中の誰かが、王になる。」

「………ありがとう」

そう言ってシェリーは玄関を出、門の前に停まっていたロールスロイスに乗り込んだ。
玄関のドアを開けたまま見送る清麿に、シェリーはふと微笑む。

(………ありがとう)

シェリーは心の中でもう一度だけ呟いて、爺に車を出すように命じた。
車が走り出すのを見送ってから、清麿は玄関のドアを閉じた。


Fin.

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