前スレ918 @247


夜の1時、一人の男が電話をしている。
「………ああ、じゃあ作戦執行の日は明後日の日曜日ということで。
 うん、じゃあその日に。お休み恵さん」
その男は受話器を置いた。
(よし、機は熟した。またあの2人を冷やかすことができるぞ…
 ガッシュもティオも純情だからよけい面白いんだよな…)
その男、高嶺清麿は普段の彼からは想像もできないくらい汚れた表情をしていた。
前回、ガッシュとティオのキスをしている写真を盗撮(?)してティオに首締めを食らったのだが、
どうやら全く懲りていないらしい。
しかも今度は大海恵を完全に仲間に入れてまた何かたくらんでいるようだ。
本当にクールな天才中学生なのか疑問が生じてもおかしくないと思われる。

「ふう、やっと着いたなガッシュ」
作戦執行の日の午後2時、ガッシュと清麿は恵の家の前に来た。
「ウヌ、今日は一日中ティオと一緒に入れるのだな。とても嬉しいのだ」
「ふーん、ガッシュはティオと一緒にいるの だ け が楽しみなんだな」
「…ウヌウ、最近の清麿は何だかイジワルではないか?」
「そ、そんなことないぞガッシュ。とにかく早く恵さんの家に入ろう」
ピンポーン
やけにドタバタした音が聞こえてきた後、ドアが開いた。
「いらっしゃいガッシュ!………と清麿」
「…何か俺が邪魔者みたいに聞こえるんだけど…」
「あーら、気のせいよ清麿」
どうも前のことをまだ気にしているみたいだ。
「おじゃましまーす×2」
とりあえず2人は中に入っていった。

「いらっしゃいガッシュ君、清麿君」
恵はリビングで待っていた。すでに飲み物とお菓子の用意がしてある。
「よかったねーガッシュ君、今日はずっとティオと一緒に入れるよ」
恵は笑顔でガッシュに声をかけた。ティオの顔が少し赤くなる。
気のせいか恵の笑顔が今日はいつもと違うように見える。
営業スマイルでもなく清麿達にだけ見せる彼女本来の笑顔でもない。
何かを含んでいるような笑顔である。
それに気付いた清麿も同じような表情を浮かべた。
「ウ、ウヌ、恵も今日は何だか変なのだ。
 もしかしてまた何かたくらんでいるのではないか?」
「そんなことないわよ、ねえ清麿君」
「ああ、勘ぐりすぎだぞガッシュ」
「ウヌウ…」
「まあとりあえずお茶でも飲んでのんびりしましょ。今日は長いんだから」
「ウヌ?でも今日は夕ご飯を頂いたら帰ることになってなかったかのう」
「まあ気にするなガッシュ。あ、恵さんお茶頂きますね。
 ………はあ、やっぱり恵さんが作ったお茶はおいしいな」
「ウフフ、ありがと清麿君」
気のせいか清麿と恵が話をすり替えたようだ。


その後4人は楽しい時間を普通に過ごした。
ガッシュとティオは前回のことを踏まえ、始めは色々意識しながらいたが、
清麿と恵がいくら立ってもいつも通りにしているのを見て途中からは忘れて楽しんだ。
そして5時半になり、恵とティオが夕食の用意を始めた。
ガッシュと清麿もある程度2人の手伝いをした。
その時ふとティオが外から聞こえてくる風の音に気付いた。
「ねえ恵、何だか今日は風の音が強くない?」
「ああ、今台風が近づいてきてるからね、きっと」
「え?だったらガッシュ達今日帰れなくなっちゃうよ」
「大丈夫よティオ。その時はガッシュ君と清麿君うちに泊まってもらったらいいんだもの」
「いいんですか恵さん。お言葉に甘えちゃって」
「…ちょっと清麿。何かその言い方始めからそのつもりだったみたいに聞こえるんだけど…」
「ヌ?そうなのか?やっぱり清麿何かたくらんでおるのではないか?」
「何言ってんだよガッシュ。俺は今日台風が来るなんて知らなかったんだぜ?」
「そうよ。2人とも何か気にし過ぎよ」
「………」
ガッシュとティオはだんだん嫌な予感がしてきた。


その後夕食ができあがり、4人が食べ終えて後かたづけを終える頃には
雨の音も加わって風の音も一段と強くなり、明らかにガッシュと清麿は帰れなくなっていた。
「これじゃ帰れないな…恵さん今日泊めてもらえます?」
「うん、全然OKよ」
2人の表情ははやりおかしく見える。
「ウヌ、しかし清麿。今日は着替えなど持ってきておらぬぞ」
「大丈夫だガッシュ。きちんと俺のリュックに入っている。もちろんガッシュの分もあるぞ」
清麿の用意周到さに明らかに怪しむガッシュとティオ。
裏腹に清麿と恵はにやけている。
「さて、じゃあお風呂入れてくるね」
「すまないな恵さん」
「おおおお風呂?」
「ん?どうしたティオ。何か気になることでもあったのか?」
「いや、別にないけど…」
「ウヌウ…」
やがてお風呂の準備ができた。
「んじゃ恵さん、一緒にお風呂に入ろうか」
「ちょちょっと待って清麿!恵と一緒に入るの?」
「ああそうだよ。それがどうかしたの?」
「そうよティオ。私たち付き合ってるんだもの。当然でしょ?」
「まあそうだけど…」
その言葉に清麿と恵は敏感に反応した。

「それじゃガッシュ君、ティオ、しばらく待っててね」
2人は何か怪しい雰囲気を醸し出しながら風呂場へ向かった。
「ティオ、やっぱり何か怪しいのだ」
「うん、あたしもそう思う。何か企んでるみたい」
「また私たちをからかおうとしておるのではないだろうか…」
「うん、きっとそうよ。今日はあの2人にだまされないようにしないとね」
その時ふと2人の目が合った。
ソファに並んで座っていたため顔はとても近い。
自然とあの時交わしたキスを思い出した。
「ガ、ガッシュ…」
「ティオ…」
2人の顔が少しずつ近づいていく。ガッシュはティオの肩を抱いた。
ティオは目をつむる。
ティオの唇がガッシュの唇で覆われた。
ティオが少し反応する。
ガッシュの頭の中が真っ白になっていく。
その時、
ガラガラガラ…
風呂場のドアが開く音がした。

清麿と恵が風呂から上がったようだ。
その音を聞いてガッシュとティオは弾かれたかのように離れた。
「ガッシュ、キスっていいね…」
ティオがガッシュにささやく。
「そうだのう…いつか誰もいないところでまたやりたいのう」
「そうね、今日は恵も清麿もいるからまたからかわれるし」
どうやらこのとことん純情な2人も少しずつ進んでいるようだ。
やがて清麿と恵が現れた。
「ふう…良いお湯だったわ」
「あれ?何かガッシュとティオ顔赤くないか?」
「そ…!そんなことないわよ」
また叫びそうになったティオだったが、ここで慌てたらバレるととっさに思い、冷静に返した。
「そうか?まあいいや。とりあえず風呂空いたからガッシュとティオ入って来いよ」
「うん、そうええええええええええええ!!!?」
「なぜティオと一緒に入らなければならないのだ!?」
めちゃくちゃ慌てて声を上げる2人だが、そんな彼らに清麿は言った。
「なぜって決まってるだろう?ガッシュとティオが付き合ってるからだよ」
「べべべ別に付き合っててもお風呂に一緒に入らなければならないとは限らないでしょ!」
「あれ?おかしいわねぇティオ。
 さっき私たちがお風呂にはいる時に言ったわよね。
 清麿君と私は付き合ってるから一緒にお風呂にはいるって。その時ティオは納得してたじゃない」

「でもだからといって一緒に入らなくても…」
「ウヌ、そうだぞ。私たちは一人でお風呂に入るのだ」
「でもガッシュ、お前一人で髪の毛洗えないじゃないか」
「あ、そういえばティオもそうだったわよね。シャンプーが目に入っていたいから
 毎日私がお湯をかけてあげてるのよね」
「………もしかしてこれのために恵と清麿は2人でお風呂に入ったんじゃ…」
「そんなことないぞ。俺は本当に恵さんと一緒に入りたかったんだ」
「うん、本当にそれだけなのよティオ」
口ではそう言いつつも2人の顔はそういっていない。
これほどかというほどにやけている。
「まあどっちにしろさ、俺たちはもう風呂に入って、あと入っていないのはガッシュとティオだけ。
 んでその2人は一人ではお風呂に入れない。 じゃあもう一緒に入るしかないな」
「ううう………しかたないか………ガッシュ、一緒に入ろう?」
「わかったのだ………」
2人はとことん落ち込みながら、でも顔を少し赤らめてお風呂場へと入っていった。
それを確認した清麿と恵はベッドの上ではしゃぎまくった。
「清麿君成功よ!うまくいったわね!」
「ああ!あの2人どういう顔して風呂にはいるのかな。見てみてえよ」
「もしかしたらキスとかしてるかも……!」
「ははははは…!よし、じゃ今度は次の作戦の用意だな」


しばらくするとガッシュとティオが風呂から上がってきた。
2人の顔は真っ赤だった。どうやら風呂だけのせいではないようである。
「おうガッシュ、さっぱりしたか?」
「ウヌウ、何だか逆に疲れたようなのだ…」
「ティオはどうだったの?」
「べ、別に普通だったわよ…」
雰囲気からして普通だったとは思えない。
それからは4人でのんびりとテレビを見たり、カードバトルをしたり、PS2をやったりしていた。
ゆっくりと時間が流れ、就寝の時間になった。
今日は4人で一緒の部屋に寝ようということになり、ティオの部屋の寝具も恵の部屋に運んできた。
ガッシュとティオはトイレを済ませ、歯磨きをし(この道具も清麿は用意していた)
恵の部屋に戻ってきた。
清麿と恵はすでに恵の布団の中に入っていた。
「え、ちょちょっと恵?何で清麿と一緒に寝てるの?」
「当たり前じゃない。ティオはガッシュ君と寝るんでしょ?」
「何いってるのよ恵!今日は清麿もいるんだからガッシュとは寝ないわよ!」
「俺は恵さんと一緒に寝たいんだけどな…
 それに前ガッシュがここに泊まった時は一緒に寝たんだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
「ウヌ、今日は何だか恥ずかしいのだ!」
「そうよ。清麿と恵も恥ずかしいで……あれ?」

ティオは恵のベッドの隣にあるものに気付いた。
「これは恵のパジャマじゃない?」
「ヌ?清麿のパジャマもあるぞ…」
「ねえ…今…服着てる?」
「着てないわよ」「着てないよ」
「………何で着てないのよ―――――!」
「何でって言われても俺たち一緒に寝る時は服着ないからさ」
「恵いつもはパジャマ着てるじゃない!」
「今日は特別。清麿君と一緒に寝れるからね」
「ウヌ、それでは今清麿と恵は裸なのか…?」
「ああ。そうだ、ガッシュも今日は服を着らずに寝てみたらどうだ?」
「いいわね。ティオもそうしたら?」
「なんでよ―――――!!」
「だっておまえら一緒に寝るということは抱き合って寝るんだろ?
 だったら服着ない方がいいじゃないか」
「なんでよ―――――!!!」
「ティオ、ティオはガッシュ君と抱き合ってる時幸せな気持ちになれるんでしょ?
 だったらね、服着ないで抱き合ったらもっと幸せな気持ちになれるわよ」
「………そうなの………?」
「ウヌウ、だが私は恥ずかしいのだ…」
「何言ってんだガッシュ、こういうときは男はしっかりと構えているもんなんだぞ」
「まあ無理にとは言わないわ。2人に任せるわよ」
「じゃあ寝るかな」
清麿は電気を消す。
「それじゃお休みティオ、ガッシュ君」
「うん…」

とりあえずガッシュとティオはパジャマのまま一緒に布団に入った。
布団の中で清麿は恵に聞いた。
「何で中途半端に言うだけでやめたんだ?」
「ああそれはね、これ以上言うとティオは絶対やらないの。
 でもここらでまかせたらあとは勝手に始めちゃうのよ。ティオはそういうタイプだから」
「そうなんだ…で、恵さん…今日は…」
「さすがに今日はお預けよ。もし私に触ったら極めちゃうわよ」
「…!この状況でお預けはひどい…」
「清麿君、たまにはティオ達に倣って純愛系でいかない?」
そういうと恵は清麿に抱きついた。
「今日は寝付くまでこうしていようよ?」
「(この状況はめっちゃムラムラするんだが…)たまにはいいかもしれないな」
一方ガッシュとティオ。
「のうティオ、どうするのだ?」
「…あたしは脱いでみようかな…恵が『服着ないで抱き合ったらいつもよりも幸せな気持ちになれる』
 って言ってたでしょ?本当ならやってみたい…」
「ウヌウ…ティオがやってみたいのなら私もやってみるのだ」
2人は布団の中で服を脱ぎだした。
先にガッシュが脱ぎ終え、それを見てティオは勇気を振り絞って全ての服を脱いだ。
「…じゃあガッシュ…」
「ウヌ…」
ガッシュはおそるおそる生まれたままの姿のティオを抱きしめた。
「………なんだか…いい」
「ウヌ…恵の言う通りだったのう…」
「ガッシュ、いつもは恥ずかしいけどたまにはこうしてみようか…」
「私もたまにはこうして抱き合いたいのだ」
「うん…じゃあお休みガッシュ」
「ウヌ、お休みなのだ」


朝。清麿と恵が起きる。
恵は久しぶりにロマンティック(?)な体験をして満足そうである。
一方清麿は一晩中お預けを食らって精神的にダメージを受けているようである。
「清麿君これ見て」
その先にはガッシュとティオが抱き合って寝ている。
近くに脱ぎ捨てられた2人の服が落ちている。
「本当に裸で抱き合ってたのか…」
「うふふ、2人とも本当に幸せそうな顔しちゃって…そうだ」
恵は布団を少しずらし、ガッシュとティオの肩まで出ている状態にした。
そして例によって携帯電話を構えた。
「あ、なるほどね。布団を脱がして写真を撮ったら流石にまずいからな」
ふと清麿の目線がティオの肩にいった。
(………こういうのそそられるな………(;´Д`)ハァハァハァハァ)
「 き よ ま ろ く ん ? 」
気付いた時には既に腕を取ってる恵が横にいた。
「あ、恵さんちょっと待ってちょっと落ち着いて
 だって昨日お預け食らっブルアァァアァア!!」

数日後、ガッシュやティオ、そして清麿も知らない間にバルカンとバルンルンの口の中に
恵が撮った写真が入っていたそうだ。
その後写真や清麿がどうなったかは知らない。


終わり

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