だいふく @462


今日は清麿の誕生日である。
「清麿〜!!誕生日おめでとうなのだ!!嬉しいのう!!」
「そんなにはしゃぐほど嬉しいってわけじゃないけどな…」
「ティオと恵もお祝いしてくれるのだぞ!!」
今日はこれから恵とティオがお祝いをしてくれることになっている。
誕生日自体は特に何とも思わないが、祝ってくれるということはやはり嬉しい。
特に恵が祝ってくれるとなると期待は大きい。
(恵さん、一体どんなお祝いをしてくれるんだろう…)



「清麿くん、お誕生日おめでとう!!」
「恵さん…ありがとう」
「プレゼントもちゃんと用意してあるわよ」
「ありがとう。一体何なんだ?」
そこで恵は服を脱ぎ出し、下着姿になった。
「うわっ!!恵さん…!?」
その首にはリボンが結ばれていた。
「プレゼントは私よ…」
「えっ!?」
「私はずっと清麿くんのものよ…」
恵はそう言いながら清麿に抱きつく。
「めちゃくちゃにして…」
「……恵さん!!」
清麿は我慢できずに恵を押し倒した。

「あぁ…清麿く…」
「恵さん…!!」



(…って、俺は何を考えているんだ!!)
妙な妄想をしてしまった自分が恥ずかしい。
「清麿、何だか顔が赤いのだ…大丈夫か?」
「…大丈夫だ。さぁ、部屋を整頓するぞ!!」
「ウヌ!!頑張るのだ!!」

昼過ぎになり、恵とティオがやってきた。
「清麿、お誕生日おめでとう!!」
「清麿くん…おめでとう!!」
「ありがとう…」
清麿の部屋に入ると、早速恵とティオからのプレゼントが渡された。
ティオはリボンの巻かれた筒状の物を清麿に手渡した。
「はい、これが私のプレゼントよ!!」
「ティオってば、何をあげるか私にも教えてくれないんだもの…」
「こういうのは誰にも内緒の方がいいじゃない!?」
「これは…ポスターか?」
「広げて見てみてよ!!」
「あぁ…」
清麿はポスターを広げた。
「こ…これは…」
「じゃ〜ん!!恵の等身大ポスターよ!!」
「ティオ!!何でこんなの…」
そのポスターは恵が水着姿で挑発的なポーズをしている物であった。
恵は恥ずかしさで顔が朱くなってしまっている。
「だって…清麿の部屋にいつも恵がいたらいいな、って思って…」
「ポスターをあげるにしても、もう少しまともなやつを選べばいいのに…」

「でも、これってお蔵入りになっちゃって世界に一枚しかないものだって言ってたから、絶対に清麿にあげるべきだと思って…」
「ウヌ、恵なのだー!!」
「とにかく、清麿!!絶対に貼ってね!!」
「わかった。」
「えっ…これ、貼るの?」
「あぁ。せっかくの恵さんのポスターだし。ありがたく貼らせて貰うよ。ありがとう、ティオ」
「うん!!」
ティオの言う通り、部屋にいる時にいつでも恵の姿を見ることができるというのは良いことだと思った。
しかも、水着姿で挑発的なポーズをしている恵である。
正直、嬉しすぎる。
清麿が喜んでくれたので、ティオも嬉しそうである。
(でも、やっぱりこのポスターは大きすぎて少し恥ずかしいな…まぁ、恵さんだからいいか…)

続いて恵がリボンのかかった箱を手渡した。
「ハイ!!私からはこれよ!!」
箱を開けるとTシャツとジャケット、ジーパンが入っていた。
「清麿くん、戦いの時にいつも服がぼろぼろになっちゃうから洋服にしてみたんだ」
「ありがとう…すごく嬉しいよ」
そこで清麿は先程の妄想を思い出してしまった。
実は妄想の通りにならないだろうかと期待してしまっている自分がいる。
(まぁ、今日はガッシュとティオがいるからそんな風にはならないよな…)

そんなことを考えていると、階下から華の呼ぶ声がした。

「清麿ー!!ケーキとお茶の用意ができたから、取りにいらっしゃーい!!」
「私も手伝うわ」
清麿がケーキを取りに行こうと腰を上げると、恵も立ち上がった。


「…清麿くん、実は他にも欲しいって思ってた物があるでしょ?」
「えっ…!?」
二人で部屋を出た途端、恵が清麿の図星をついた。
清麿は恥ずかしい妄想をしてしまったことを恵に悟られないよう、必死で弁解する。
「いや、こうして恵さん達に誕生日を祝って貰ったりプレゼントを貰えたりしたんだから、もう充分だよ」
「嘘!!さっき、清麿くんちょっと残念そうな顔してたし…」
「…!!」
(見透かされてる…!?)
清麿の焦りをよそに、恵はにっこりと微笑みながら清麿の耳元で囁いた。
「今さら誕生日プレゼントにしなくても、私はずっと清麿くんのものだから安心してね♪」
「…あ…ありがとう…」
(…やっぱり、恵さんにはかなわないな…)
清麿はふっと笑いながら恵の後をついて行った。


〜おしまい〜



〜おまけ〜

清麿と恵がケーキを取りに行っている間のこと…。

「そういえば、ガッシュはもう清麿にプレゼントあげたの?」
「私もこれからあげるのだ!!」
「へぇ〜!!ガッシュは何をあげるの?」
「ブリなのだ!!」
「ブリ…?」
「ちゃんと清麿に見つからないように隠してあるのだ!!」
「…どこに?」
「ここなのだ!!」
ガッシュは清麿のベッドの下にある引き出しの中からブリを引っ張りだした。
すると、部屋中に生臭い匂いが立ち込めた。
「ちょっと…このブリ、いつからここに置いてあるの?」
「ウヌゥ…確か、一昨日からのはずだが…」
「…これ…腐ってるわよ…」
「……ヌオオォォ!!それは本当なのか…?」
「だって…こんなひどい匂いがするんだから絶対腐ってるわよ!!」
「ヌアァァ!!せっかくのプレゼントが…」
「いや〜!!臭いよぉ…」
部屋にはひどい匂いが充満してしまっている。
清麿が部屋に戻ってきてから、ガッシュが怒られたのは言うまでもない…。


〜終〜

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