だいふく @507


此処はフランス・ベルモンド家の屋敷──。
その広大な屋敷の一室では、ベルモンド家の令嬢であるシェリーが優雅に身支度を整えていた。
先日、なかなか雰囲気の良いカフェを見つけた。
だから、今日は親友であるココとそこでお茶をしようという約束をした。
「今日は肌寒いから、ストールを持っていこうかしら…」
そう思い、シェリーはクローゼットを開けストールを探す。
しかし、目的の物はなかなか見つからない。
「どこにしまったかしら…」
しばらくクローゼットの中を探していると、ある物が見つかった。
「あ……」
ココがゾフィスに心を操られていた時に着ていた服だ。
素朴な彼女には似つかわしくない、派手で趣味の悪い服。
(捨てたと思っていたのに…。)
ゾフィスは魔界に帰り、ココは元の優しい彼女に戻った。
だから、もうあんな悲しい思いをすることはない。
しかし、ココが操られていた時のことを思い返すと泣きたくなるような衝動に駆られる。
(もう、絶対にあんな思いはしたくない…)
シェリーは悲痛な面持ちで辛かった時のことを思い返してしまっていた。
その時、ドアをノックする音がした。
「はい、どうぞ」
「こんにちは、シェリー」
そこにはココがいた。

そこにはココがいた。
シェリーは悲痛な表情をしていたことを悟られないように、慌てて笑顔を作る。
「ココ!!どうしたの?待ち合わせまではまだ時間があるのに…」
「今日はやることもなくて暇だったから迎えに来ちゃった…」
ふと、ココの目にシェリーが持っている服が目に留まった。
「あら、シェリー、その服は…?」
「…!!」
しまった、とシェリーは戦慄した。
いくら記憶を封じ込めたとはいえ、この服を見たらゾフィスに操られていた時のことを思い出してしまうかもしれない。
シェリーの鼓動が速くなっていく。
しかし、そんなシェリーの不安は見事にかき消されることになる。
「その服…すごく素敵ね!!」
「…えっ?」
思いもよらぬココの反応にシェリーは拍子抜けしてしまった。
「もしかして、パーティー用の服かしら?いいなぁ…」
「そ…そうかしら?」
ココはシェリーの持っている服をうっとりしながら見つめる。
「ねぇ、シェリー。この服、着て見せて…」
「……え?」
「この服、絶対にシェリーに似合うと思うわ…。だから、シェリーが着てるのを見てみたいの。」
「え…えぇ、分かったわ…」
「じゃ、着替えが終わるまでは外に出てるわね。着替えが終わったら声をかけてね!!」

そういってココは部屋の外に出た。
(まさか、この服を私が着ることになるなんて…)
何となく断れずにこの服を着る羽目になってしまった。
服はココのサイズに合わせて作ってあるようだった。
バスト、ウエスト、ヒップはココのサイズとあまり変わらないため問題はない。
しかし、身長はシェリーの方がココよりも若干高いため、スカートの裾が少し短くなってしまう。
(は…恥ずかしい…。)
そう思いながらもシェリーはココに声をかけた。
「ココ、着替え終わったわよ」
するとココが再び部屋の中に入って来た。
「うわぁ…やっぱりすごく似合ってるわ!!」
「そ…そうかしら?」
「少しスカートの丈が短いような気もするけど、そこもセクシーね…」
そう言われてシェリーは苦笑するしかない。
「シェリー…もしかして、この服あんまり気に入ってないの?」
「えっ…どうして?」
「さっきから、浮かない顔をしているから…」
「えぇ…実はこの服には嫌な思い出があって…」
そう言うとシェリーの瞳から涙が溢れた。
「…ごめんなさい!!」
泣き出してしまったシェリーを見てココは必死で謝る。
「知らなかったとはいえ、そんなに嫌な思い出のある服を着せてしまったなんて…」

ココも泣きそうな顔になってしまっている。
「いいのよ、ココ…気にしないで…」
「でも…」
やっぱり、駄目だ。
冷たく、残虐なココはもういないと分かっている。
でも、もしかしたらまた優しいココが居なくなってしまうのではないか─。
そう思うと、涙が溢れた。
シェリーは潤んだ瞳でココを見つめながら懇願する。
「お願い…ずっと傍にいてね…」
シェリーは辛いことを思い出してしまっているのだろう─。
そう思い、ココはシェリーを優しく抱きしめる。
「うん…私たちは一緒に幸せになるのよ…」
そう言うと、ココはシェリーに口づけた。
「……!!」
シェリーはココの思わぬ行動に戸惑い、頭が真っ白になってしまう。
数秒の間口づけた後、ココは口を離した。
「シェリーとずっと一緒にいるって約束するわ…。だから、それをシェリーに分かって欲しいの…。」
「あ…でも…」
シェリーが「私たち、女同士でキスを…」と言おうとしたところで再びココに唇を塞がれた。
しかも、今度はココの舌がシェリーの口内に入り込み、シェリーの舌を絡めとってくる。
暫くの間、二人は舌を絡め合っていた。
(あぁ…気持ち良い…)
シェリーは初めての感覚に酔いしれてしまう。

口を離すと、二人の間につつ、と糸ができた。
シェリーの目はとろんとしている。
「あ…はぁ…」
「シェリー…大好きよ」
そうして二人はベッドに倒れ込んだ。
ココはシェリーの首筋にキスをしながらも器用にシェリーの服を脱がせていく。
「あん…はぅ…」
首筋にキスをされるたびに身体に電流のような快感が走る。
とろけそうな快感の中、シェリーはいつの間にか下着姿になっていることに気付いた。
ココは下着の上からシェリーの乳房を揉みしだく。
しかし、下着の上から刺激されてもじれったいだけである。
女同士でこんなことをしてはいけないと思うが、ココが大好きだという気持ちと次々に押し寄せてくる快感には抗えなかった。

「ココぉ…お願い…直に触ってぇ…」
「分かったわ…」
そう言うとココはシェリーのブラジャーのホックを外し、乳房を露出させた。
「シェリーの胸…とても綺麗」
そして、そのまま乳房を揉みしだくとだんだんシェリーの息が荒くなっていく。
「あっ…やっ…はあっ…」
ココはシェリーの乳首をくりくりとこねる。
すると、シェリーの身体に鋭い快感が生じる。
「はあぁぁん!!」
さらに乳首を口に含み、ちゅうちゅうと吸う。
「…んん…あぁぁ…やっ…」

ココはシェリーのスカートの中に手を入れ、細くしなやかな指でシェリーの割れ目をショーツ越しから刺激する。
「シェリー、すごく濡れてる…」
「は…あはぁ…ん…」
初めての性感と女同士でこんなことをしているという背徳感のせいで、シェリーの秘部はとろとろに潤っていた。
ココの指がショーツの上から縦筋に沿って滑っていく度、快感がシェリーの身体を走っていく。
続けて、ココはクリトリスの辺りをショーツの上からぐりぐりと刺激した。
「はああぁぁっ!!」
すると、シェリーの身体が大きくわなないた。
ココはシェリーのショーツをするすると脱がせる。
ココもショーツを脱ぎ、自らの秘部を触った。
「見て…シェリーが感じてるのを見て私もこんなに濡れちゃったわ…」
取り出したココの指はぬるぬるした液体で濡れていた。
さらにココはシェリーの身体をころんと横にし、足を開かせた。
「コ…コ?一体何を…?」
「さ、シェリー…。一緒に幸せになろう?」
ココはシェリーの脚の間に割って入り、自らの秘部とシェリーの秘部を触れ合わせた。
「あぁぁ…っ!!」
「はぁ…ん」
濡れた花弁が重なりあう感触に二人はたまらず喘ぎを漏らした。
ココはそのままゆっくりと前後左右に腰を動かした。

すると、くちゅくちゅと卑猥な音をたてながら二人の粘膜が擦れ合う。
「ああぁぁっ…!!ココっ…!!」
「はっ…シェリー…!!いぁっ…」
互いの敏感な花弁は、擦れ合うたびに強烈な快感を二人に与えた。
「は…ダメぇっ!!ココ…ひあぁっ!!」
「んっ…シェリー…あ…はぅっ…」
時々、クリトリスを刺激されると腰が跳ね上がる。

二人は腰を動かし、互いの花弁を擦り付け合い快感を貪る。
そして、そのまま絶頂へと昇りつめていった。
「ココっ…うっ…あんっ…私、変になるうぅっ!!」
「シェリー!!私も…んあぁぁっ!!」
そして、二人は同時に絶頂に達した。
「あ…ふあぁ…」
「はっ…はぁ…」
肩で息をする二人の美女。
二人は恍惚の表情を浮かべながら肩で息をしていた。
しばらくそのままで余韻に浸っていると、ドアをノックする音がした。
「シェリー、入るぞ」
ノックすると同時に、ブラゴが部屋に入って来た。
裸で息を荒げている二人の姿を見てブラゴは一瞬目を丸くした。
「……邪魔したな」
しかし、ブラゴは何事もなかったかのように部屋を出て行った。
「ちょ…ブラゴ!!待ちなさい!!」

恥ずかしいところを見られてしまい、シェリーは動揺してしまう。
「まぁ、いいじゃない」
「でも…」
「シェリーは幸せだって感じなかった?」
女同士であんなことをしてしまったのは恥ずかしい。
しかし、いつもと違うココを見ることができた。
誰も知らないであろう部分を互いにさらけ出すことができた。
「え…まぁ、幸せだったけれど…」
「それならいいじゃない」
「……そうね…」
シェリーはふっと微笑みを浮かべた。
「さ、着替えたら早速お茶を飲みに行きましょうよ!!いいカフェを見つけたんでしょ?」
「ええ…絶対にココも気に入ると思うわ」

そうして二人は身支度を整え、部屋を後にした。

幸せになる時は二人で一緒に─。
その言葉を噛み締めながら。


〜終〜

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