名無しさん@ピンキー @607


ここは清麿の通う学校。
普段はあれだけにぎやかな校舎も
生徒たちの声が溢れる教室も
夕方になって生徒がみんな帰宅してしまった今は
まるで嘘のように静まり返っている。
そんながらんとした校舎の中へ、一人猛ダッシュで駆け込んできた少女がいた。
彼女は清麿の同級生、水野鈴芽。
必死に走っている割に極めて足は遅いが、自分なりに頑張って走っているらしい。
どうやら明日提出しなくてはいけない宿題を教室に忘れてきてしまい、
急いで取りにきたようだった。
教室の前で大きく深呼吸した鈴芽は
呼吸を落ち着かせてから、そっと誰もいない教室に足を踏み入れた。

「あ〜、これだ。よかったぁ」
机の中に入れっぱなしになっていた一冊のノートを手に取り、鈴芽はほっと
安堵の表情を浮かべた。やっぱり忘れてたんだぁ、と独り言をこぼす鈴芽を
傾きかけた太陽の光が照らす。
「早く帰らないと夕方になっちゃう。帰ったら早速宿題やらなくちゃ…ん?」
立ち上がり教室のドアに向かおうとした鈴芽の目に止まった物があった。

「これ…」
教室の後ろ、高峰清麿の席。…に無造作に掛けられたブレザーだった。
今日は気温が高かったため、ほとんどの生徒が上着を脱ぎ
椅子の背もたれに掛けていた事を思い出す。
きっと清麿も同じように上着をかけていて、そのまま帰ってしまったのだろう。
清麿に対して完璧超人に近いイメージを抱いている鈴芽にとっては、意外な発見だ。
「高峰くん、上着忘れて帰っちゃったのかな?高峰くんもたまには失敗するんだー。」
ほんのささいな事なのに、みんなの知らない清麿を自分だけが
知ったような気持ちになって表情が緩む。
「えへへ。しょうがないなー。
帰りに高峰くんのお家まで持っていってあげようっと」
そう言ってブレザーを椅子から離す。しょうがないとか何とか言いつつ、
ニヤけたままの顔はかなり幸せそうだ。

ブレザーを抱え上げ、胸に抱くと
ほのかに残る清麿の匂いがふわりと鈴芽の嗅覚をくすぐった。
「あ…」
今自分が清麿の服を抱いているという事を妙に意識させてしまう。
「高峰…君…」無意識に清麿の名前が出てくる。
今まで気付かないフリをしてきた異性に対する感情が
鈴芽の中でわずかに膨らんだ。ブレザーを抱きしめる手に、力が入る。

高峰くんが好き。
ずーっと前から大好き。
高峰くんはみんなに優しくて、みんな高峰君のことが大好きで。
でも私は…その前の高峰君の事だってずっと…。

その時。鈴芽の心臓はドクン…と音を立てて大きく鼓動した。
(あれ?どうしちゃったんだろう私…。何だか変だよ…)
自分の体の思わぬ反応に鈴芽は戸惑い
慌てて自分の胸を押さえるが、鼓動は一層大きくなって鈴芽の手に伝わる。
身体が熱い…。全身の血液が凄いスピードで巡るのを感じる。
見る間に紅潮していく頬は、夕日に照らされてより一層赤く見えた。
(やだ…本当に私どうしちゃったの…?)

身体の中で、抑えきれない何かが沸き起こってくる。
「はぁ…んぁっ……はぅ…」
次第に息づかいが乱れ、戸惑う気持ちとは裏腹に
身体はどんどん熱を帯びはじめた。
さっきから押さえていた胸がジン…と疼く。
「んっ…」
今まで経験したことのない感覚にどうすれば良いか判らない。
だけど…手を放せない。
鈴芽は服の上からそっと自分の胸をつかむと、
ぎこちない手つきでゆっくりと揉みはじめた。
「…っぁ!くぅ…ん」
(私ってば何やってるんだろう…。こんな…ことって…)
恥ずかしさとどうしようもなく切ない気持ちで一杯なのに、
手を止めることができない。
愛撫はだんだんと激しくなり、初めて味わう快感に夢中になった鈴芽からは
次第に理性が失われていく。

「…だ…誰も見て…ないよね…?」
辺りに人の気配が無い事を確かめた鈴芽は、
そのまま腰が抜けたように床に座りこんだ。
そして火照った身体にふわり…と清麿のブレザーを羽織り、
再びその温もりに酔いしれる。
「は…あっ…た、高峰くん…」
頭の中が真っ白で、何も考えられない…。もう我慢できない…。
清麿に脱がされていく姿を想像しながら
セーラー服の裾をたくし上げ、ハーフトップのブラも上にずらす。
お世辞にも大きいとは言えない胸が露わになり
その上にはピンク色の先端がはかな気に立ち上がっている。

「はァんっ…!やっ…」快楽を求める手が、
外気に触れてわずかに鳥肌の立つそこに触れた。
ゆっくりと揉みしだく度に小さな肩がピクン、と震え、
吐息混じりの上ずった声が漏れる。「ん…あぅぅ…ふぁっ…」
鈴芽の指が小さな突起にも伸びた途端、身体をまるで電流が走ったような快感が走り、
下腹部が熱くなったのを感じた。

「は…あ…なに…?」
スカートをめくり、痒きだす下半身に目をやると
既にそこはぐっしょりと濡れていて、下着からにじみ出した
愛液が白い太股をツ…と伝っていた。
見た事の無い自分の姿に一瞬息をのむが
身体を支配する欲望を満たしたい気持ちが勝っていた。
そこに触れたい…。
下着の隙間から指を入れ、割れ目にそってゆっくりと指を滑らせる。
「ひぁっ!」
自分でも驚く程高い矯声が上がる。

「は、あんんっ!んぅ…あっ…」
今までとは比べ物にならない程の快感に、自分が教室にいるということも忘れて
鈴芽は夢中でそこを愛撫した。
「はぁぁっ!んはぁ…」
指の動きは次第に早くなり、甲高い喘ぎ声と
秘部から溢れる愛液の濡れた音が教室に響く。
「っや、もぉ…だめぇ…!」
やがて脚がひとりでに伸び、
絶頂を迎えた身体がびくん、と大きく跳ねた。

「…はぁ…はぁ…」
まだ余韻の残る身体を起こし、呼吸を整える。
汗ばんだ身体にまとわりついた衣服を着直すと
朦朧としていた意識は霧が晴れていくようにはっきりとしてきた。
と、同時に自分のトンデモナイ行為もフラッシュバックし
火照っていた頬からさーっと血の気が引く。
「…って、やだやだやだ何やってんの私ーー!?」
罪悪感やら自分に対するツッコミが頭の中でグルグルまわり
頭を抱えてうずくまった。
「私って、最低…」
学校に戻ってきた目的も忘れ
そのまましばらく半泣きでへたりこむ鈴芽だった。


一方その頃、教室から数メートル離れた廊下の隅にも
頭を抱えている人影が一つ。
「…なんて時に来てしまったんだよ俺…」
家に帰って鏡を見たら、朝着ていたはずのブレザーが無い。
そういえば学校で脱いだまま着て帰った覚えがなかった気が…。
という訳で学校に戻ってみたら確かに教室にあったものの
同級生のちょっと天然系少女がそれを着ていてあれよあれよと言う間に…。
しかもそこで帰れば良いのについつい廊下から
一部始終を覗き見してしまったりする自分がここに。

「明日から高峰くんと顔あわせられないよぉ…」
「明日から水野の顔見れない…」

翌朝。いつも通り学校に無理矢理ついてきたガッシュは
ものすごーく気まずそうに視線をそらしている
鈴芽と清麿が不思議でしかたなかったとか。




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