だいふく @4


「ただいま…」
仕事が終わり、恵は疲れた様子で家に帰る。
今日は特に仕事が立て込んでおり、帰りが遅くなってしまった。
「恵、お疲れ様〜!!」
玄関を開けるとティオが恵を出迎えた。
「ティオ、まだ起きてたの!?もう遅いのに…」
「恵が頑張ってるのに、私だけ眠るわけにはいかないじゃない!」
ティオはそう言うが、少し眠そうである。
「それより、恵の方が疲れてるみたいだけど…。」
ティオが心配そうに尋ねる。
ここ最近、ずっと休みなしで仕事があったので、疲れてしまうのも無理はない。
「うん…ちょっと辛いけど、頑張らなくちゃ!」
恵は笑顔で答えるが、その笑顔にはどこか無理をして作っている感じがあった。
「あんまり無理はしちゃだめよ!!お風呂沸いてるから、早く入って今日はゆっくり休みなさい!!」
「そうね…ありがとう、ティオ」
そう言って恵は風呂に入る。
ティオの心遣いが嬉しかった。
ゆっくりと風呂に漬かり、一日の疲れを癒す。
気持ち良くて湯舟の中で眠りそうになってしまうが、慌てて正気にかえる。
風呂を出た後は髪を乾かしたり、化粧水をつけたりと眠る準備を整える。


早く眠って明日に備えなくてはと思い寝室に入ると、ティオがすでにベッドに入っていた。
恵がベッドの中に入ると、ティオが口を開く。
「今日、清麿の家に遊びに行ったんだけど、清麿ったらいつもより元気がなかったわよ!!」
「そうなんだ…」
最近は仕事が忙しいため、清麿と会う暇もなかった。
「清麿ったら、恵に会えなくて寂しいみたいよ!」
「うん…明後日には仕事も一段落するから、そしたらまた会えるようになるかな…」
ずっと清麿に会えなくて寂しかったが、清麿も自分に会えずに寂しいと思ってくれていたことが分かって少し嬉かった。
「さ、そろそろ寝ましょう!」
「そうね!おやすみ、恵…」
「おやすみ、ティオ…」
そう言って恵は部屋の電気を消した。

…………
…………

恵は眠ろうと目を閉じるが、眠れないまま時間を持て余してしまう。
身体は疲れているはずなのに、何故か寝付けない。
ティオはもうぐっすりと眠っていた。
(…早く清麿くんに会いたいな…)
清麿のことを想う。
忙しくても毎日の電話やメールは欠かしていなかったが、やっぱり直接顔を見て話したいと思う。
会ったらいっぱい話したいことがある。
いっぱいキスもしたい。
いっぱい抱きあいたい。

そして…エッチもしたい…。
そこまで考え、恵の顔は朱く染まった。
清麿に抱かれている時のことを思うと、清麿の香りや温もりが蘇る。
すると、身体は火照り、下半身からはとろりと愛液が分泌される。
(やだ…濡れちゃった…?)こんなことを考えてしまうなんて、はしたないだろうか。
しかし、清麿のことを考えると恵の心と身体は熱くなっていく。
恵はパジャマのボタンを外した。
寝る時はブラを外しているため、豊満な乳房が露になる。
それから、そっと乳房に触れてみた。
「あっ…」
乳首が硬くなっている。
たわわな乳房を両手で軽く揉みしだきながら、指先でそっと乳首に触れてみる。
「はぅっ…」
すると、身体に電流のような刺激が走った。
声も出てしまった。
大きな声を出すと隣で眠っているティオが起きてしまう。
加えて、恵は自慰の経験が無いため、こんなことをしてしまうなんてはしたないと思う。
しかし、いけないという気持ちとは裏腹に恵は手の動きを止めることができない。
ティオの方に背中を向けると、乳首をくにくにと摘んだりして弄ぶ。
「ふっ…んんっ…」
甘い声が漏れてしまう。
(どうしよう…気持ちいい…。)

恵はさらなる快感を求め、下半身に手を伸ばした。
ショーツの上から秘部に触れてみる。
愛液がショーツを濡らし、そこはしっとりと湿っていた。
「ん…ふっ」
ショーツの上からそっと指を動かしてみると、下半身にむず痒いような快感が沸き上がる。
続けてパジャマのズボンとショーツを一緒に脱ぎ、直接秘部に触れる。
秘部はとろとろに潤っており、くちゅ…と、湿った感触が恵の指に伝わった。
(あ…すごく濡れちゃってる…)
清麿に会っていなかったため、しばらく快感を味わっていなかった恵の身体は刺激に敏感になっていた。
指に愛液をたっぷりと絡ませ、縦筋に沿って滑らせる。
「はぁぁっ、んぅっ…」
恵の指が秘部を滑るたび、愛液が溢れ淫らな水音が響く。
「ひぅっ!はあぁぁっ…」
時折、指先でクリトリスを優しく刺激すると小さな叫び声が漏れた。
(清麿くん…)
今、快感を生み出している自分の指が清麿のものならいいのに、と思う。
自らの指を清麿のペニスに見立て、膣の中にずぶずぶと沈めていく。
「ふあぁぁっ…!!」
そのままゆっくりと抜き差しを繰り返す。
「はっ、やっ、あっ、んぅっ…」

初めのうちはゆっくりだった指の動きは徐々に激しくなっていく。
「ああぁぁん、はあぁっ…いいよぉ…っ」
恵の指が抜き差しされるたび、膣からは愛液が掻き出される。
恵は自慰をはしたないと思っていたことも、隣でティオが眠っていることも忘れてひたすら快感を貪る。
片手で乳房を弄び、もう片手では秘部を弄ぶ。
「ああぁっ、清麿くんっ…」膣への抜き差しを繰り返しながら親指でクリトリスに触れると、一気に昇り詰めてしまう。
「ふあぁっ…もうだめ…っ!ああぁぁぁっ…!!」
恵は身体を震わせながら絶頂に達した。
「はぁ、はぁ……」
膣から指を抜き、ぐったりしながら息を荒げる。
恵はふとティオのことを思い出して焦った。
見られていたらどうしようとティオの方を見るが、ティオは恵の行為に気付くことなく、ぐっすりと眠っていた。
それにほっとした後、今度は空しさが襲いかかってきた。
一人で、してしまった。
「清麿くん…」
自らの身体を抱き締め、愛しいひとの名を呼ぶ。
清麿に会いたい。
清麿の温もりを直に感じたい──。
そう思っていると、身体を心地よい気怠さが包んでいく。
その気怠さに包まれながら、恵は眠りの世界へと吸い込まれていった。


翌朝になり、目覚まし時計が鳴った。
ベッドの中から手が伸び、ベルの音が鳴りやむ。
まだ眠っていたいけれど、今起きなければ仕事に間に合わない。
今日も一日頑張らなくては。
そう思い、恵は意を決したように起き上がる。
ティオは目覚ましの音に気付くことなく、ぐっすりと眠っている。
昨日、夜遅くまで起きていてくれたのだから無理もないと思い、そのまま寝かせてあげることにする。
「ん〜…っ!」
軽く伸びをすると、寝ぼけていた頭が少し冴えてくる。
早く身支度をして朝ご飯を作らなくてはと思い、ベッドから降りるとティオが目を覚ました。
「おはよ〜…」
「あ、ごめん!起こしちゃった?」
「ううん、大丈夫…」
ティオはぼーっとしていたが、恵のとある様子に気付くと目を真ん丸にした。
「め…恵?」
「ん?なぁに?」
驚いたように自分を見つめるティオに気付き恵は戸惑う。
「何で、下に何も履いてないの…?」
「あ…」
あの後、着衣を整えるのを忘れて眠ってしまっていたのだ。
下に何も履いていないだけでなく、パジャマのボタンも掛かっていないので乳房も見えそうになってしまっている。
「やだ、恵ってば寝ぼけてたの!?」
「そ…そうみたいね…」
恵は笑ってごまかす。

ティオはやれやれといった顔をしつつも、顔を洗いに洗面所へと向かった。
恵は今の自分の恰好に顔を朱くしつつ、ふとあることに気付いた。
もしかすると、シーツも濡れているのではないだろうか。
掛け布団を勢い良くめくり、自分が寝ていた辺りを見てみる。
案の定、そこは濡れており、シーツには薄い染みができていた。
ティオにおねしょだと思われたらさらに恥ずかしいので、気付かれないうちに洗濯しなければ──。
そう思い、恵は急いでシーツを取り外すのであった…。


〜終〜

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