名無しさん@ピンキー @65


「まいったな…」
清麿は一人、大きな荷物を抱えてパリの街中をさまよっていた。
ガッシュと共に戦った日々も今は昔の話。
高校生となった清麿は夏休みを利用してフランスに短期留学の最中だ。
ところが、留学斡旋会社の手違いで、留学生活も残り1週間の所で
契約していたアパートメントを追い出されてしまった。
「何とか安ホテルでも探してみるしかないか…」
そうぼんやりと考えながら、交差点の角を曲がった時、
同じく角を曲がってきた車にぶつかりそうになり、思わず尻餅をついてしまった。
「大丈夫ですか!?お怪我はありませんでしたか?」
大きな黒塗りの車から慌てて初老の男性が飛び出してきて声をかける。
「…いえ…別にぶつかったわけではないですから。ぼんやりしてたのはこっちだし…」
そうこたえる清麿の顔をその初老の男性はじっと覗き込んだ。
「あなたには…確か…どこかでお会いした事があるはずですが…」
その時、車の後部座席のドアが開き、白い衣服を身に纏った女性が降りてきた。
「あなた…。あなたは…あの時の赤い本の子のパートナー…ではなくて…」
声を掛けられ顔を上げた清麿は思わずはっとした。
「あんたは…黒い本の…シェリー…。シェリーなのか?」
シェリーは静かに微笑むと清麿にこたえた。
「ええ。それよりお怪我がないようでも、気にはなります。
 私の家で医師に調べさせますので車にお乗り下さい」


それから先は早かった。
フランスに短期留学をしている事、あと1週間の滞在だが
住まいを追い出されてしまった事をシェリーに話すと、
自分の屋敷のゲストルームが空いているのでぜひ使ってくれと快くすすめてくれた。
ベルモンド家の所用が忙しいらしいシェリーとはなかなか顔を合わせる機会はなかったが、それでも何度か一緒に食事の席につくと、話は自然とかつての 魔物の王位決定戦の話になった。
シェリーはガッシュのことを気に入っていたらしく、
清麿が話すガッシュの思い出話を笑顔で聞いてくれたが、
シェリーがかつての自分のパートナー、ブラゴの事を口に出す事は一度もなかった。
そのようにして一週間は瞬く間に過ぎていき、
とうとう清麿が明日で帰国という日になった。


「明日でフランスともお別れか…」
短い間だったが、そう思うとなかなか寝付く事が出来ず、清麿はバルコニーへ出て
今日で見納めのパリの夜空を眺めた。その清麿の視界に、はす向かいのバルコニーに
出てきたシェリーの姿が目に入る。
「あら。キヨマロ。まだ眠ってなかったの?」
「ああ…。何だか今夜が最後と思うとなかなか寝つけなくて…」
「私もなんだか眠れなくて困っていたところよ。もし良かったら
 これから私の部屋にいらっしゃらない?良いワインが手に入ったからご馳走するわ」

「さあ、どうぞ」
シェリーは清麿を迎え入れると、早速ワインを振舞った。
「あ…。ワインはいいよ…。俺まだ未成年だし…」
そう断る清麿にシェリーはこたえる。
「なに言ってるの!?ここはフランスよ。
 ここでは20才にならないと飲酒してはならないなんて法律はないわ。
 それに私一人で飲むなんて味気ないじゃない」
そう女性に言われては断るわけにもいかない。
それにシェリーは胸元も露わな薄い寝衣を身に着けており、正直目のやり場に困る。
(飲んで気を紛らわすしかないな…)
そう思った清麿はすすめられるままワインを飲み干していった。


どのくらいワインを飲みつつ談笑していただろうか。
ほどよく酔いが回ってきた清麿は席を立った。
「何だか…酔ってきたみたいだ。これなら眠れそうだからもうそろそろ失礼するよ」
おぼつかない足取りで戸口へと足を向ける清麿にシェリーは声をかける。
「そう?大丈夫?ゲストルームにはミネラルウォーターが用意してあるはずだから
 酔ったのならそれを飲むといいわ」
「ああ。ありがとう」
そう言いつつ、ドアのノブに手をかけようとした清麿だが、
思わず足元がふらつき、側にいたシェリーの肩をつかんでしまった。
清麿の重みでシェリーはそのまま床に押し倒された格好となる。
それどころかその拍子に寝衣の肩紐がずり落ち、胸元が半分露わになってしまった。
その様に気付いた清麿の酔いは一気に覚めた。
「…ごめん!!思ったより酔っ払ったみたいだ。ほんとごめん!!」
目をそらし、清麿は慌てて立ち上がろうとしたが、シェリーはその腕を強くつかんだ。
そしてあろう事かそっと目を伏せ、唇を閉じるとわずかに顎をつきだす。
「おい!?…シェリー…?」
清麿の問い掛けにもシェリーはこたえようとせず、ただ目を閉じたままでいる。
清麿としてもシェリーのあられもない姿に欲情しない訳ではない。
先ほどまでの酔いも手伝い、どうにでもなれ!と清麿は目を閉じるシェリーに
口付けをした。

「んんっ…は…ん…」
シェリーの口腔に舌を差し入れ、その舌を絡めとるようにすると
シェリーは甘くくぐもった声を漏らす。
その声に後押しされた清麿はシェリーの寝衣の肩紐に両手をかけ、一息にずり下げた。
淡い桜色の蕾をたたえたぴんと張りのある乳房が露わになる。
たまらずそのぷるんとした豊かな膨らみを両手で激しく揉みしだき、
時折乳首を指先で捏ね、それだけでは物足りず乳房に舌を這わせ
その頂きを舌先で舐め回す。
「あんっ…!!あ…っ…だ…め…っ!!あぁっ!…すご…く…っ……ぁ…!」
甘い声でなき続けるシェリーへの欲望を清麿は既に抑える事が出来ない。
寝衣の長い裾をまくりあげ、真っ白な太股を手の平でさするように撫で上げると、
豪華なレースを施した純白の下着を一気に取り去った。
指先をすべらせ、もうとろとろに濡れている事を確認すると、
その中に乱暴に指を出し入れする。
「ひぁ…っ!はあっ!!…ぁんっ…やっ!…あぁ…んっ!!」
シェリーは眉根をひそめつつもよがり続ける。
もっとこの人が乱れる所を見たくて、清麿はシェリーの足を大きく開くと
その間に顔を近づけ、溢れ出してくる蜜を舌先で貪るように舐め取った。

「んっ!!…やっ!だ…めぇ…っ!…感じ…ぁぁ!す…ごく…っ!!」
そう言いつつシェリーは自分の秘部に舌を這わせつづける清麿の髪の毛に
両手を差し入れ、ぐしゃぐしゃにかき回す。
「はあっ…シェリー…俺もう…」
清麿のものは既に熱く固く反りあがっていた。
清麿の言葉に、目を閉じたまま無言で頷いたシェリーに、
清麿は欲望を思うまま突き立てた。
「あんっ!…くふ…ぅ…っ!…あ…ぁあっ!!…ぁ…あああぁっ!!!」
シェリーが喘ぐたび、シェリーの内襞が妖しく蠢き、清麿をきつく締めつける。
折れそうに細い腰をよじらせながら喘ぎまくり、
乱れていくシェリーの姿はたまらないほどに艶かしい。
「…シェリー!!…ダメだ…もう…!!」
清麿はシェリーの身体を大きく揺さぶりながら激しく突き動かすと一気に絶頂に達した。
シェリーもかすかにある言葉を漏らしながら同時に昇りつめていった。


しばらく後、我に返った清麿はシェリーが最後の時に漏らした言葉を反芻した。

『ブラ…ゴ…』

(…シェリーは確かにそう言ったような…。
 ほとんど聞き取れないくらいの小さな声だったが…)
そうぼんやりと思った清麿ははっとした。
(シェリー…まさか…。いや…そうか、そうだったのか…。あんたはブラゴのことを…。
 まさかこの二人がそんな…。しかし、ウォンレイとリィエンの例もある。
 魔物と人間が恋仲になる事はそう不思議な事ではないのかもしれない。
 何よりそう考えれば、シェリーが魔界に帰ったブラゴの事を
 一言も口に出さなかった事にも合点がいく…)
清麿がぼんやりとそんな事を考えている間に、シェリーは既に着衣を身に着けていた。
「…ごめんなさい…。キヨマロ…。私…。私…なんて事を…。
 忘れてちょうだい…。今の事は。あなたにとってもその方がいいはずよ…」
清麿には顔を向けず、背中を向けたまま、シェリーはつぶやいた。
清麿も慌てて飛び起きシェリーにこたえる。
「いや…今のは俺が…俺のほうこそ…」
しかし、それ以上何と声を掛けていいものかわからない。
「明日は空港にちゃんと普通に見送りに行くわ。
 …だから今の事は…なかったものと思ってもらえない…かしら…」

うなだれたままそう続けるシェリーは泣いている様にも見えた。
その様子を感じ取った清麿は、自分は今すぐこの場を立ち去るべきだと思った。
「安心してくれ…。俺もどうかしてた…。…俺も忘れる。
 お互い酔いすぎたんだ…。もう自分の部屋に戻るよ」
「…ありがとう…」
か細い声でこたえるシェリーを残し、清麿はそっとドアを後ろ手に閉めた。

(俺だってガッシュがいなくなった時は、何か心にぽっかりと穴が空いたような感じが
 しばらく続いた。…だけど…シェリーはもしかしたらもっと辛い思いをしてきた
 のかもしれないな…)

清麿はそんな事を考えつつも、酔いに任せ己を自制できなかった事を
苦々しく思いながら自分の部屋のドアを開けた。


終わり

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