146改めはぐはぐ @250


それはサンビームの家をみんなで訪ねた数日後。
「スケジュールが急に空いちゃって、暇になっちゃった」と
珍しく恵がひとりで清麿の家を訪ねてきた。

「あれ?ティオは一緒じゃないの?」
「うん、今日はどこかに遊びに行っちゃったみたい」
「そうか…ガッシュもいないんだよな…」
急なことに内心驚きながらも慣れない手つきで紅茶を振舞う。
考えてみれば恵とふたりきりになることなどほとんどなかった。
清麿はなんとなくむず痒いような気まずさを打ち消そうと思ったが
妙に意識してしまっているのか話すことが浮かばない。

そんな微妙な沈黙を破ったのは恵だった。

「清麿くん…好きな子、いるの?」
恵がぽつりと呟いた。
ゴホッ!!!
飲みかけていた紅茶を思わず吹き出しそうになるのを抑えて咳き込みながら、
急な問いかけに清麿は戸惑いを隠せなかった。あまりの動揺ぶりに
普段の居丈高な口調はなりを潜め、年相応の反応を見せる。
「え…えっと……何でいきなり…」
「そんなに動揺しなくても…フフッ」
からかうように笑みを浮かべた次の瞬間、ふと切なそうな表情を浮かべて
恵がさらに呟いた。
「…もしかして…この間の…スズメ…ちゃん?」
ブホオォッ!!!!!
あまりにも想像外の質問に今度は紅茶を噴きだすのを止められなかった。
「ふふ…図星なんでしょ?」
「ち…違うっ! 水野は妹みたいなもんでオレが好きなのはめぐ…あっ!!!」
うっかり滑らせたことばに耳まで真っ赤になり、口を押さえて「しまった!」と
言わんばかりの表情を浮かべてしまう。恥ずかしさのあまり何か言おうとしても
うまく言葉にできずに清麿はうつむいてしまった。
「あ…あのその…お…オレ…」
「…嬉しい…」
ふわっ、と急に何かが覆い被さるような感じがする。
次の瞬間、清麿は自分が抱きしめてられていることに気づく。
「…私も…清麿くんのこと………好き………」

どくん。

耳元で囁かれた声に心臓が跳ね上がりそうになる。
(…嘘だろ?恵さんがオレの事好きだなんて…)
あまりにも信じがたい言葉に嬉しさよりも先に疑念が湧いてくる。
「いや…でも恵さんなら相手だっていくらでもいる…オレなんて年下で…」
思わず漏れた本音。それに答えるように抱きしめる力を強めて恵が答えた。
「私が清麿くんじゃなくっちゃイヤなの。年なんて関係ないわ」
「でも…っ」
「黙って…」
それだけ言うと恵の手が清麿の顎を軽く上に向ける。
「…ん…っ???」
突然恵に唇を塞がれて頭が真っ白になる。
軽く唇を啄ばむような緩いくちづけが幾度か続いた後、
恵の舌が清麿の唇を抉じ開けて割り込んできた。

「ん…はぁ…むっ…んふぅ…」
「清麿…く…ん…」
くちゅ…くちゃ…っ
唾液が混じる水音に混ざって恵の吐息が清麿の脳髄に響いてくる。
(…頭が焼け付きそうだ…)
初めてのキスに徐々に理性が飛んでいく。
唇を絡めあいながら清麿の手が無意識に恵の胸に触れた。
「は…ぁんっ!」
はじめて聞く女性の嬌声に清麿の手が思わず竦む。
「ご…ごめんっ!オレそんなつもりじゃ」
咄嗟に手を引っ込めようとする清麿の手を恵が押さえ込んだ。
「……清麿くんだったら……いいよ」
「……っ!」
その瞬間、ギリギリのところで保っていた理性が弾け飛んだ気がした。
「恵さん…っ」
一言だけ呟くと清麿は座ったままの姿勢で強く恵を抱きしめた。
急な抱擁にバランスを崩した恵が押し倒したような形で倒れこんでしまうのも
気にせず、ぎゅっと抱きしめたまま恵の頭を押さえつけキスを繰り返す。

濡れた唇からは吐息と舌を絡め合う音だけが静かに洩れ、
窓から射しこんでいた陽射しはゆっくりと形を変えながら
ふたりを包むように辺りを朱に染めていった―――。


辺りを宵闇が包む。
絡めあうキスは止まることも知らずに続いている。
ニットセーターの下に手を滑り込ませ恵の胸を手のひらで優しく撫でると
感じているのか恵の躰が微かに震える。
「あ…あふ…ぅ」
恵の口から洩れる心地好い声が清麿の興奮をさらに高めていく。
胸のふくらみを優しく包みながら、徐々に膨らんでいく突起を軽く摘む。
「ふぁあん!」
慣れない手つきで続く服の上からの愛撫は意図せぬ"焦らし"になっているようで
恵は清麿の動きに反応しつつも何か言いたげな目を向けた。
「き…清麿く…ん……お願い………もっと…ちゃんと触って…」
顔を真っ赤にさせて目を潤ませながら恵が放った言葉は
普段の彼女からは考えられないほど淫らでたまらない。
おねだりの声にセーターを胸元までずりあげると
恵が待ちきれないといわんばかりに後ろ手でブラをはずす。
押さえられていたふたつのふくらみが弾けるように姿をあらわした。

「きゃっ…!」
自分からねだるようにしたものの、肌蹴た胸が恥ずかしかったのか
咄嗟に胸を隠そうとしてしまう恵の手を清麿が押さえ込む。
着やせするのか、想像していた以上に豊満なふくらみに思わず目が離せない。
「や…っ……そんなに見ないで…」
「恵さん…きれいだ」
思わず本音を漏らすと、清麿はぺろりと恵の乳首を舐めた。
「んぁああっっ!!!」
それまでとは比べ物にならないくらいの反応に清麿の興奮が高まっていく。
乳房をおそるおそる撫で上げながら、乳首を口に含んで転がしてみる。
「あ…ぁあ…あぁ!」
胸への愛撫を繰り返しながら、体中をさわさわと撫でていくうちに
無意識に、恵の下半身に清麿の手が伸びる。
「あ!いやっ!!!」
恵が恥らう声も無視して清麿の手が恵の股間に滑り込んだ。
「うわ…ぁ」
長い時間おあずけを喰らった形になった恵の秘部は
ショーツの上からでもわかるほどに湿り気を帯びていた。
「濡れてる…」
思わず発してしまった清麿の呟きに恥ずかしさが増したのか
恵は泣きそうな顔でいやいやしている。
「恵さん…嫌か?」
恵の様子に気づいて我にかえった清麿が心配そうな顔をして声をかける。
その表情に安心したのか、恵はにっこり笑うと清麿の手をそっと握って呟いた。
「恥ずかしかったけど、でもいいの…このまま…して?」

微かに震える恵の手から不安が伝わってくるような気がした。
それでも、清麿はその不安すらも愛おしく感じて堪らなかった。
「恵さん…」
そっとくちづけを交わすと、恥ずかしそうに恵がショーツをおろす。
初めて見る茂みに触れるとそこは既に蜜でしっとりと濡れていた。
「あぁ…」
茂みに触っただけでも反応を見せる恵に心配よりも欲望が頭をもたげた清麿が
そろそろと指を沿わせると茂みの中に突起があった。
そこを軽く擦ると、恵の躰が今までにない勢いでびくりと跳ねる。
「ああっ!!! ふあぁっ!!!」
(…恵さん…感じてる…?)
恵の感じるしぐさが清麿をたまらなく興奮させる。
花弁を指で軽く広げ、突起を優しく舐めあげる。
「ぁあ…ぅあっ! あああっ…ぁ…あはぁっ…!」
ぴちゃぴちゃといやらしい音が鳴るたびに恵が嬌声をあげる。
執拗に舌で責めあげると恵の躰が痙攣し始めた。
「あ…あうぅ…ダメ…ダメ…いやあ…」
「…恵さん…」
「いや…いっちゃう…いっちゃうよぉぉォ…おかしくなっちゃう…」
クリトリスを音を立てて舐めながら、無意識のうちに蜜壷に指を滑らせた瞬間
恵の体がびくっと仰け反る。そのままゆるゆると指を動かしながらクリを舐め続けると
足をがくがくと震わせた恵が今までにない勢いで悶えはじめた。
「いやぁ!!! あぁ…いっ…いっちゃう―――ぁああああああっ!!!」
きゅうっ、と蜜壷が締まり、清麿の指をくわえ込んだままひくひくと痙攣する。
そして恵はそのままくたりと力を抜いて倒れこんでしまった。

「恵さん…オレ、もう我慢できない…」
「…ぁ…清麿くん…」
清麿はそれまで着ていた服を煩わしそうに脱ぎ捨てると
恵の返事を待たずにいきり立ったモノを蜜壷に軽く押し当てた。
セックスのやり方など知識の上でしか知らなかった。
ただ、恵の全てが欲しかった。
「いくよ…」
くちゅっと小さく音を立てて清麿のものが恵の中に沈んでいく。
「ぅあああ…」
ぬるぬると蜜が絡み、達したばかりの蜜壷が清麿自身に絡みついてくる。
初めて得る快楽に耐える術もなく腰を静め、頭が真っ白になっていくような
気持ちよさに清麿の動きが少しづつ激しさを増していきかけたそのとき。
「…ぅっ…痛…っ」
ふと、恵が苦しそうな声をあげた。
清麿は咄嗟に現実に引き戻されて動きを止めてしまう。
「え…恵さん……もしかして初めて…」
処女がセックスの際に痛みを伴うものだと言う事は知っていた。
けれど、初めに恵からキスしてきたことで"経験がある"と思い込んでいたのか
清麿は恵が処女だったことに驚きを隠せなかった。
「ひとりでした事はあるけど…こんなことするのは初めて…
……清麿くんじゃなきゃ嫌だって、言ったじゃない」
恥ずかしそうに顔を赤く染め、目を潤ませながら恵が上目遣いで清麿を見つめる。
「大丈夫だから…もっと、して…?」
気遣うようなしぐさがたまらなく愛おしくなって、清麿は恵をぎゅっと抱きしめた。
「恵さん…オレ…恵さんが好きだ……!!!」
気がつけば清麿の目にも涙が滲んでいた。

繋がったままでキスをする。とても、長い時間。
「ん…ふ…ぁ」
啄ばむようなキスから絡めるようなキスを繰り返していくうちに
萎んでいた清麿自身が徐々に大きくなっていく。
「……清麿くん、あったかいよ…」
「恵さん…動いても、いい?」
「……うん。たぶん、大丈夫」
今度は恵の返事を待って、ゆっくりと腰を動かし始める。
蜜が絡まりあっているおかげできつくはあるが動くことは容易かった。
くちゅ…ちゅぷ…と淫らな音が辺りを包む。
「ぅ…恵さん…凄い、気持ちいい…」
「あ…くぅ…清麿く…ん…ぁう!」
恵が痛くないように、もっと感じてほしくなって清麿の手が恵のクリトリスに伸びる。
腰をゆっくり動かしながら、クリトリスを蜜と絡めながら擦ると
多少苦しそうだった恵の声が艶めいていく。
「はぁあ…ああっ…あはぅ…ぁああっ…」
「恵さん…そんなに締めたら…オレ…くぅっ…」
クリトリスへの愛撫のおかげか、少しづつ恵の躰が清麿を欲しがるように動き始める。
「やぁ…わかんないけど…痛いけど…気持ちいいよぉ…!!!」
恵が喘ぐたびに清麿の動きが激しさを増していく。
指の動きと相まってそれは恵にも快楽をもたらし始めていた。

じゅぷじゅぷといやらしい水音が鳴り、赤みを帯びた蜜が
恵の太腿まで垂れるほどに溢れる。
膣壁がひくひくと小刻みに震えはじめて清麿自身に纏わりつき、
そのたびに体中を貫く疼くような感覚が清麿の動きを早めていく。

今にも溢れ出しそうなそれを止めることが出来なくなったころには、
恵も愛撫のおかげで痛みより快楽が勝るようになっていた。

「あぁぁあぁっ…あはぁっ…ああ!ゃあ……ダメぇ!気持ちいいよぉ…!!!」
「うぁっ…オレ…もう…イキそうだ…!!!」
「ぁあん………き…清麿くん……あぁっ!」
恵の躰がびくっと跳ねると同時に締め付けられた清麿自身が限界に達する。
「くっ…め…恵さん…イクっ…ぁああ!!!」
「あぁあ!!!んはぁああああああ!!!!」
壊れてしまいそうなほどに恵を強く抱きしめながら
清麿は恵の奥深くで熱いものを吐き出した―――。


(人のぬくもりがこれほどまでに心地好いものだとは、知らなかったな…)

清麿は恵のぬくもりを感じながらぼんやりと考えていた。
彼女と出逢えた事でこんなにまで安らぎを感じることができた…
その幸せを"幸福"と呼ぶのに清麿はまだ気づかなかった。

「清麿くん…大好き」
ベッドの中で腕枕をされながら、隣にいた恵が優しく微笑んだ。
「えっ…???え…あ…あぁ……うん。オレも…」
好きだ、と言おうとした瞬間、恵のキスが降って来る。
清麿は温かいそのぬくもりにうっとりしながら優しく恵を抱き寄せた。

―END



●おまけ●

日が暮れて、ガッシュはなぜか恵の家にいた。
「ヌゥ。もう夜なのだ。清麿のところに帰らなくてはいけないのだ」
「今日はいいのよ!清麿のお母さんが外でご飯食べようって言ってくれてるんだから」
「そうか!それならいいのだ」
トゥルルルル…………
電話の音が鳴る。それは華からの電話だった。
『あ、ティオちゃん?ふたりから連絡あった?』
「あ、まだないよ」
『そぉ…じゃあ、もう少し放っておきましょうか。先にご飯食べに行きましょ』
「うん!じゃあ駅で待ってるね!」
『気を利かせてやらないとあの二人、手をつなぎもしないんだから…ねえ?』
「恵、うまくやってるといいなぁ…清麿、奥手っぽそうだもんね」

              * * * * *

「っくしょーい!!!…風邪でも引いたかな…」
「大丈夫?清麿くん」
「ああ…大丈夫。それにしてもみんな遅いな…」
帰宅が遅い事を訝しむ清麿に、慌てた恵が咄嗟に話の矛先を変える。
「…そ、そうね…あ、清麿くん、おなかすかない???」
「え?ああ…そういえば…」
「じゃあ私、ご飯作ってあげる!ガッシュ君やティオには
後で何か食べさせればいいわ!ね?」

ガッシュと出会って以来、"ふたりきりでほかに誰も居ない"という偶然など
そうそう起きるわけがない事に、清麿ひとりが気づいていなかった…



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