名無しさん@ピンキー @687


紅茶の香りに、微かに淫らな香りが混ざる。
クラシックの優雅で緩やかなメロディに、子犬がミルクを舐めるような音が重なる。

昼下がり。
シェリーは双眼鏡を手に自室の窓辺に立ち、薔薇園の様子を見ている。
その足元には年嵩の執事が跪き、シェリーの股間に顔を埋めていた。

「あぁ…いいわ、爺…もっと…もっとよ、もっと舐めなさい…んっ…はぁ…あぁっ…」

シェリーの流した愛液で、既に執事の口元はびしょ濡れになっている。
濡れた髭が恥丘やクリトリスを撫でる感触に、シェリーはさらに愛液を溢れさせた。

「んふぅ…はぁ…あぁん、いいわ…ん…っ、はぁん…」

シェリーはさらなる快感を求め、執事の顔に股間をぐいぐいと押し付ける。
それに応えるように、執事の舌と唇の動きが強く激しくなっていく。



─────いつからこんな事が日常となってしまったのだろう。

ゾフィスの手からココを取り返したまでは良かった。
なのに。
まさか、魔界の王を決める戦いの中、共に奔走しシェリーを導いてきた黒い魔物が、
元の姿に戻った優しく穏やかなココに惹かれてしまうなんて、
そしてココまでもが、強く厳しいその黒い魔物ブラゴに惹かれてしまうなんて。

それまで常にシェリーの傍らにあったブラゴは、
今では戦いの為の訓練や魔物を追う旅の時にしか時を共にしなくなっていた。
ココがいればシェリーと同じテーブルでお茶を飲むこともあるが、
それも僅かな時間で。ココが帰ればブラゴは自室か外へ消えるのが常となっていた。

今日もブラゴは、ベルモンド邸内の薔薇園という不似合いな場所にいる。
赤毛の女性…ココを、激しくも優しく、抱いている。
双眼鏡越しに映る二人の姿はシェリーの心を傷つけ、そして壊していく。
あんなに可愛らしいココも、あんなに熱い瞳をするブラゴも、見た事がなかった。

嫉妬。喪失感。二人が睦み合う姿を見て感じた疼き。
世俗に疎く未成熟な精神と、
貴族令嬢として召使達に傅かれる事に慣れていたシェリーは
ブラゴとココの逢瀬を初めて見た日、
一線を一線とも思わずに忠実な執事に命じたのだ。自分のここを舐めろ、と。
その日から、毎日のように繰り返される秘め事。


「んっ…はぁん、あっ…あっあっ…いいわ、爺…指っ、指を入れなさいっ…あぁんっ」

シェリーの泉は、ぬちゅ、と音をたてて執事の太い中指を容易に飲み込んだ。
執事の指先がシェリーの胎内を擦り蠢くリズムに合わせて、
ぷっくりと膨れているクリトリスがふるふると震え
泉の入り口や花弁もひくひくと細かな収縮を繰り返す。

「くっ…口を離しちゃダメッ!口と指の両方を使いなさいっ…ああ、そうよ、いいわぁっ…」

従順な執事の丁寧な動作。
指の動きを少しずつ速くし、クリトリスを唇で甘く挟んで舌先で軽く押し潰す。

「あっ、あはぁっ…あっあぁんっ、んっ、んあっ、あっあっいいっ、いいっ、あああっ」

絶頂が近くなり、執事に押し付ける腰の動きが強さを増す。
双眼鏡越しにシェリーの目に映るブラゴとココはひとつに繋がり、
むさぼりあうようなくちづけを交し合っている。


─────うらやましい。
─────さびしい。
─────なぜ私ではないの?
─────ココを抱いているのが、ブラゴに抱かれているのが、
─────なぜ私ではないの?

ブラゴの腰が激しくココを打ちつけている。
ココの足はピンと爪先を伸ばし、ブラゴの腰に巻きついている。
やがて大きくグラインドしたかと思うと動きを止め、重なり合って横たわった。
薔薇に囲まれた二人の姿を見ると、何も考えられなくなる。

「くっ、ああっ、いいっ、爺、もっと指を入れてぇっ!ああ、もっと激しくぅっ、もっとぉっ…あああっ」

シェリーの言葉に、執事は埋める指を増やした。
大量の愛液が潤滑油となり、太い三本の指はすんなりと胎内に飲み込まれていく。
クリトリス周辺一帯を覆うように吸い付きながら、
唇と舌の両方を激しく押し付け捏ね繰り回す。
ビチャビチャ、グプッグプッと気品の欠片も見当たらない音が快感を煽る。

シェリーの目尻に涙が浮かんだ。
それは執事の奉仕によって得ている快感の涙なのか、
目に映る二人の姿に傷ついた涙なのか、シェリー自身にはわからなかった。

「あっ、ああっ、ああ、あ、あ、あっあっいっいくぅ─────っ!」

がくがくと大きく震えるシェリーの腰を、執事は片手でくず折れないように支えながら
指と口の動きを絶頂の波に合わせた。
溢れる愛液が執事の手首を伝い、お仕着せの袖口を濡らした。

やがてシェリーの震えがおさまり、コトリ、と双眼鏡を置く音がすると、
執事は埋めていた指を引き抜いて胸ポケットから絹のハンカチを取り出し、
びっしょりと濡れたシェリーの股間を丁寧に拭き、下着を履かせ、
ドレスの裾から抜け出してその裾の形を整えた。

執事は何事も無かったかのように立ち上がり、
部屋に置かれていた椅子をシェリーのすぐ傍らに置いた。
シェリーは虚ろな視線を窓から離さぬまますとん、と腰を下ろす。

「紅茶を入れ直して参ります」
執事はそう言って一礼し、部屋を出た。


─────いつからこんな事が日常となってしまったのだろう。
─────いつまでこんな日常が続くのだろう。
シェリーはぼんやりと考える。

それすらもまた、日常。


end


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